[4-D-2-06] Searching and practical usage of FHIR data
日本におけるHL7 FHIRを活用した標準化は、多くの関係者の尽力により様々な標準規格が制定されつつある。先行して仕様が定義された、処方情報、健康診断結果報告書、診療情報提供書、退院時サマリーの、4つの仕様は厚生労働省標準となりその利用が推奨されている。また、これら4文書のベースの仕様ともいうべき、JP Coreは、NeXEHRS FHIRワーキングの活動により仕様の策定が進み、Ver1の公開に続き、Ver1.1の公開が予定されている。 これらの標準化団体の活動に並行して、様々な医療機関における先進的なFHIRへの取り組みや研究、あるいは個別の医療系ベンダの取り組みにより、多くの医療機関でFHIRデータを利活用できる環境が整いつつあると考えられる。多くの場合、それらのFHIR環境は、いわゆるFHIRリポジトリと呼ばれる、既存の医療データを新たにFHIRデータに変換してデータ蓄積するパターンか、あるいはFHIRファサードと呼ばれる既存の医療データを活用しリアルタイムにFHIR化する実装のいずれかに分別される。この状況が進展すれば、今まで各医療ベンダが提供してきた医療データウェアハウスシステムと同じように、FHIRデータ環境が整備され、FHIRデータを自由に利活用できる環境が各医療機関に提供される未来は近いと考えられる。 このセッションでは、実際にFHIRを“検索”する際に、どのような検索が実行可能なのか、FHIR R4の標準仕様やJP Coreについて、その仕様が掲載されるFHIR Profile/Capability Statementの内容を解説する。さらに、具体的にFHIR検索実装で課題になり得るパターンとその対策についても議論する。 冒頭に述べたFHIR4文書仕様については、FHIR DocumentsというFHIRデータの集合表現形式を採用しているが、FHIR Documentsで医療データを交換した際に、受け取ったシステム側がそのデータを表示する以外の目的で利活用するためには、どのようなことを検討し実装する必要があるのかについても解説したい。