[4-D-2-07] HL7 FHIR Questionnaire/ Questionnaire Responseによるベンダーニュートラルな構造化診療記録の収集と蓄積
国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部(JH)では、診療情報の臨床研究への活用の一層の推進のため、標準的な記法による電子カルテ用診療テンプレートの定義と、その定義を各社の電子カルテテンプレートに展開する仕組み、そして入力された情報を標準的な記法により蓄積する仕組みを開発するプロジェクトJASPEHR(JApanese Standard Platform for EHRs)を進めている。テンプレート定義は、FHIR QuestionnaireによりJSONで記載し、カルテの入力結果はFHIR Questionnaire Responseで出力する。JASPEHRテンプレートが展開された各社の電子カルテで診療記録を構造化して記載することで、その情報はFHIRリソースとして蓄積され二次利活用が容易になる。項目の追加・変更はFHIR Questionnaireで再定義することで容易に行え、それに合わせてFHIR Questionnaire Responseで出力される項目も自動的に変更される。現在、作成したJASPEHRテンプレート定義用のProfileに基づいて、5社の電子カルテおよび周辺システムベンダーが開発を進めている。JASPEHRは、6つのナショナルセンターの統合電子カルテデータベースである6NC-EHRsのほか、人全ゲノム解析プロジェクトの難病領域における診療情報の収集に利用するための開発が進められており、さらに、がん領域、REBIND(新興・再興感染症データバンク事業)にも活用することが検討されている。様々な課題は残されているものの、HL7 FHIRのリソースを活用することで、電子カルテベンダー非依存で同一の項目を電子カルテ記録として構造化して記録し、統一形式で出力する基本的な仕組みが開発されたことは、今後の臨床研究の発展に大きな意義があると考える。