Japan Association for Medical Informatics

[4-E-2-02] 在宅医療に関わる多職種のタスク最適化に寄与する、医療情報の共有方法を考える

*Masei Suda1,2 (1. Suwa Central Hospital, Department of Rheumatology, 2. Chino city)

長野県茅野市は八ヶ岳西麓に位置する、人口5万人規模の地方小都市である。その茅野市がデジタル田園健康特区において目指す世界観は、少子高齢社会における在宅医療に関わる多職種のタスク最適化である。タスク「シフト」ではなくタスク「最適化」である意味は、①資格職のヘルスケアプロバイダーはそれぞれの職能が法的に規定されているが、これらの職能の意味や目的から在宅医療現場における各職種の役割を棚卸しし、規制緩和で職能の垣根を超えることでブリコラージュ的に最適な連携体制を作ること、②タスクシフトされる側の職種も忙しいので、「押し付け」にならないようにお互いのタスクを効率化することである。
それでは、デジタル化の推進による医療情報の遠隔での共有体制の構築は、どのように在宅医療現場のタスク最適化に寄与するだろうか?先行研究※から示された有効性としては、①リアルタイムに多職種が収集した情報が共有され、コミュニケーションが促進されること、②ICTの活用で業務支援が行われ、多職種連携が円滑に行われること、③医療機関と在宅ケアの連携も強化され、地域包括ケアが促進されることなどが挙げられる。また、課題としては、①使用者の目的に合わせたシステム化の必要性、②情報入力にかかる時間的負担、③アナログとデジタルのダブルスタンダードによる連携困難、④地域でのICT機器の導入のプロセス面や金銭面でのハードル、⑤情報の安全管理の体制構築などが挙げられる。
上記の有効性を強化し、課題を解決するために、どのようなヘルスケアデータ基盤を作るべきか、茅野市の構想をもとにディスカッションを行いたい。
※新見公立大学紀要 第42巻2号 pp. 77-85, 2022 「在宅看護における遠隔医療の有効性と課題に関する文献検討」