一般社団法人 日本医療情報学会

[4-E-2-03] 吉備中央町が本邦初の⾰新的事業連携型国家戦略特区指定を受けて 〜デジタル田園健康特区と規制改⾰の実現に向けた大学の役割~

*牧 尉太1、那須 保友2 (1. 岡山大学病院産科婦人科/吉備中央町デジタル田園都市構想推進協議会事業実施アーキテクト、2. 国立大学法人岡山大学理事・副学長(研究担当)/吉備中央町デジタル田園都市構想推進協議会統括アーキテクト)

岡山大学は、2022年4月12日に全国初となる革新的事業連携型国家戦略特区(デジタル田園健康特区)に指定された岡山県吉備中央町と、広範囲な地方創生及び人材育成、並びにSDGsの達成を目指す連携・協力に関する協定を締結した。デジタル技術の活用により、医療や健康分野において日本各地の地域が抱える課題(救急救命士や看護師の役割拡大、母子健康促進支援サービス、医療・保健・薬剤管理情報とマイナンバーとの連携)を規制改革により解決することを通じて、『地域課題の解決における先駆的モデル』構築を目指す。特区の役割は規制に風穴を開け、各地に波及させることにあり、健康特区から改革志向の都市の連携を進め、改革を全国に迅速に広げることが期待される。わが国は、病院集約化、医師偏在、医師の働き方改革等による制度改正という難題への対応により、医師不足や地域医療の確保など、バランスのある舵取りが必要となる。これらの自治体では、事業者等が異なる医療情報ネットワークの共通化の推進、医療や行政の縦割り体制の打破、そしてデータ共有の不備を正すことなど期待されている。今後、指定を受けた自治体以外への連携体制や、他分野である、交通・教育など他分野への展開に向け、大学として学術の中心的役割と社会の発展に寄与する有効な規制改革を遅延なく広げることが重要である。『専門知』を融合させた新たな『総合知』を駆使したオール岡山大学体制、そして強固な産学官連携により、安全・安心で、誰一人取り残さないまちづくりに貢献してまいる所存である。