Japan Association for Medical Informatics

[4-F-1-01] 問診用対話エージェントが開かれた質問を行うことによる効果の検討

*Isao Kawakami1, Kense Todo4,2,1, Masaki Kitazawa3,1, Satoshi Takahashi4, Atsushi Yoshikawa2,1 (1. 立教大学大学院人工知能科学研究科, 2. 東京工業大学情報理工学院, 3. 北澤技研, 4. 関東学院大学理工学部)

medical interview, conversational agent, open question, inclining mechanisms

外来看護師は病院待合室を巡回し,患者への問診票確認を起点に,診察の不安緩和のための傾聴や,詳細症状・生活状況の聞き取りを行う.対話を通し患者との関係を構築すると共に,問診票よりも踏み込んだ情報収集を行い,医師に伝達することで診察を円滑化している.この聞き取りでは,医療側の視点で聞くべきことを限定して問う「閉ざされた質問」(以下,CQ:Closed Question)や,患者に自由な発言を許容し想定外情報を含めて収集する「開かれた質問」(以下,OQ:Open Question)といった対話技法が適切に併用される.本研究では,問診用対話エージェントに,開かれた質問を行わせることによる,患者との関係構築および収集情報量・質への影響を検討した.省力化・情報共有を目指して進められる問診の電子化においては,予め用意された質問項目によるCQのみで対話が構成されていることに対して,外来看護婦のような機能をどの程度埋め込むべきかを調査する.
実験ではOQを行う頻度を変化させた4種類の問診用対話エージェントを構築し,クラウドソーシングで募った調査協力者を模擬患者として症状を記した面談シナリオを提示の上,エージェントと対話させる.対話ログを収集すると共に事後アンケートにより対話行為に対する印象を問う.対話エージェントは,医師が診察で行うように,OQにより患者に自由に主訴を述べさせ,主訴の情報欠落部分についてCQで網羅的に確認を進める方針とした.OQ・CQの配分によって,関係構築および収集情報量・質の異なりを調べる.このことにより,対話エージェントが患者と適切にコミュニケーションを取るためのOQの配分,即ち患者に与えるべき対話の自由度に関する,対話エージェント設計指針を考察する.