一般社団法人 日本医療情報学会

[4-F-1-04] スマートグラス型電子カルテは医療現場で有効なデバイスとなりうるか?

*西川 彰則1、園田 将之2、永橋 佑樹3、熊本 淳次2 (1. 和歌山県立医科大学, 2. 株式会社グローバー, 3. NECソリューションイノベータ株式会社)

Smart Glasses , Electronic medical record, Mobile device

【背景】診療現場では、電子カルテ端末がナースステーションに集中して配置されているため、医療従事者がナースステーションに密集して働く状況はやむを得ない。医療者が、ベッドサイドやナースステーションに縛られずどこでも簡易的に診療情報にアクセス可能であれば、コロナ禍における3密回避に役立つと考えられる。【目的】電子カルテ情報の収集場所の分散化や隔離環境での情報収集の目的にスマートグラス型電子カルテ参照システムを開発し、現場での運用に資するか検証を行った。【実装内容】ベッドサイド等で簡便に参照できるようなポリシーで設計したため、参照可能な情報は、当日を含め過去3日間のバイタル情報、当日の検査結果、当日有効な処方・注射内容、検査予定、指示コメント、アレルギー情報といった必要最低限の情報である。また、検査結果については、基本項目とカスタマイズ項目に分け、必要な表示項目を選択可能とした。診療情報はNEC MegaOak HRのDBから取得し、Vuzix スマートグラスM400を採用した。画面操作はスマートグラスの柄に当たる部分のタッチパッドもしくはボタン操作でおこなった。【結果】現場の医師に実臨床で利用してもらいアンケート調査を行った。情報量を絞ることで画面の見やすさや表示内容は概ねよい評価が得られたが、操作性の難しさ、かけ心地が悪いとった評価であった。表示内容はそのままで、スマートフォンのアプリなら使いやすいのではとのコメントもあった。【考察】両手があいた状態で場所に縛られず簡易的に診療情報にアクセスできるデバイスとしてスマートグラスを採用したが、装着性や操作性に課題があるということが分かった。操作性は慣れの要素や音声入力の実装等で改善する可能性があるかもしれない。表示内容については一定の評価が得られたため、簡便なカルテ参照システムとしてのスマートフォンでの展開も検討できる。