Japan Association for Medical Informatics

[4-F-1-05] 電子カルテシステムに必要な性同一性障害に対応する機能

*Akiko Yamada1, Atsuhiko Okagaki1 (1. 大阪医療センター)

electronic medical record, gender identity disorder, gender reassignment surgery, gender change in the family register, name change on insurance card

【はじめに】性同一性障害者は、性別適合手術の実施を含む一定の条件で戸籍の性別変更ができる。また、性同一性障害が証明できれば、保険証の氏名は、通称名の記載が承認されている。しかし、これらが診療に及ぼす影響と、対応する電子カルテシステムの機能についての検討は十分ではない。そこで、性同一性障害において、生物学的性別と保険証の性別が異なる場合と、戸籍の氏名と保険証の氏名が異なる場合についてのリスクを検討し、電子カルテシステムに必要な機能を明らかにすることを目的とした。 【方法】性同一性障害患者について、戸籍の性別の変更によって、生物学的性別と保険証の性別が異なっている場合、および、戸籍の氏名と保険証の氏名が異なる場合について、診療および診療業務におけるリスクついて検討した。次に、リスクが及ぼす影響に対して、リスクを回避するために電子カルテシステムに必要な機能について検討した。 【結果】保険証の性別を電子カルテシステムに登録した場合、検査の基準値や薬剤の投与量などに影響し、治療上の注意を要した。生物学的性別を登録した場合、リストバンドや帳票類へ表示に影響し、患者に精神的負担を与えるリスクがあった。氏名に関しては、保険証の氏名でなければ、保険請求ができないリスクがあり、保険請求の氏名を電子カルテシステムに登録した場合、死亡診断書の氏名について、戸籍の氏名で記載されないリスクがあった。 【考察】現在の電子カルテでは、性別は1種類しか登録できない。性同一性障害の場合は2種類の性別が存在することは明確であるため、少なくとも異なる性別を保有していることがわかるように、電子カルテシステは対応する必要がある。氏名に関しても、保険証と戸籍の氏名が登録できる電子カルテシステムの機能が必要である。 【結語】性同一性障害に対応して、性別、および氏名は、区別して登録する電子カルテシステムの機能が必要である。