Japan Association for Medical Informatics

[4-F-1-07] PHRを利用したPUSH型通知の有効利用に向けた課題の検討

*Tatsunori HBMS Shimakawa1, Masako Yamaguchi1, Shunsuke Doi2, Hideo Suzuki3 (1. 県立広島大学, 2. 東京大学医学部附属病院, 3. 一般社団法人SDMコンソーシアム)

Personal Health Record, Push notifications, behavior modification, Healthcare

1.背景
 PHR(Personal Health Record)サービスの課題として、個人の健康や医療に対する行動変容にどれだけ寄与するかが挙げられる。この解決方法の一つとして、ポピュレーションアプローチやハイリスクアプローチに対応したPUSH型通知の利用が考えられる。
 先行研究により、PUSH型通知は一定の効果が期待されるが、PUSH型通知を受け取っても「行動しない人」に着目した行動変容手法の探索が必要になると考える。
2.目的
 PHRサービスのPUSH型通知の課題を整理することで、個人の行動変容につなげるための方策を検討する。
3.方法
 マーケティングリサーチ会社を通じて、中四国地方の住民に対して、アンケートモニターパネルによるインターネットアンケート調査(調査期間:2022年3月7日~3月14日)を実施した。
4.結果
 アンケート回答者(n=8237)のうち、PUSH型通知機能を利用したくないと回答した人は1106人であった。PUSH型通知機能を必要としない理由は、男女ともに「ほかの通知と混じって煩わしい」が最も多く、「通知がなくても自分で健康に対する対処ができる」、「病気になってもすぐに病院を受診できる」が続いた。PUSH型通知を必要としない人のうち、PUSH型通知を利用することで還元されるサービスがあれば利用したいと答えた人は、60%程度であった。また、災害などの緊急速報や避難指示の通知は70%程度の人が必要性を感じていることがわかった。
5.考察
 PUSH型通知機能を利用したくない人であってもインセンティブ設計を行うことで個人の行動変容につながる可能性が示唆された。今後は、災害時などの利用のように、個人の危機管理能力の向上につなげることが課題である。また、医療従事者との共有による相互作用により、PHRの管理能力を高めていく必要があるものと考える。