[4-F-1-08] 地域医療連携システムとの連携を目指すHL7を用いたPHRアプリ
Personal Health Record, regional medical collaboration sysytem, SS-MIX, HL7
日本では各医療機関が個別に診療情報を管理し、共有されないことが多い。従って患者は個人情報や健康情報に加え自らの容態を医療機関ごとに伝える必要がある。このことから、複数の医療機関から得られる診断結果や服用中の薬剤情報を自身で管理するツールが発想され、Personal Health Record (以下、PHR)と呼ばれる。日本では一般的に広く利用される PHR は無く、地域医療連携システムがその役割を一部果たす。地域医療連携システムの多くは患者の同意を得て診療情報を共有するが、三次医療圏の範囲を超えて連携しているものは無く、異なる地域間では恩恵を得られない。本研究は、地域医療連携システムをまたがる患者情報の流通も視野に入れた、スマートフォン上のPHRアプリ(以下、本アプリ)の開発を目指す。本アプリは患者自らの健康情報の集積・確認に加え、情報の一元化により他地域であっても医療機関に健康情報を正確かつ不足なく提供することで、地域医療連携システムとアプリ間での相乗効果、患者の医療参画を促すことを目的とする。本アプリは「身体情報」として、氏名、性別、生年月日などの基本的な属性情報とかかりつけ医や緊急連絡先、アレルギー、既往歴、現病歴等の情報を持つ。また、日常生活での体調の変化等を記載する「健康メモ」を持つ。これにより、初診時に主訴や診療に必要な情報を過不足なく提供可能になる他、自らの健康への関心向上が期待できる。本アプリの情報記述にはHL7を使用している。従って、データ交換はHL7を用いたSS-MIXストレージを利用する医療機関または地域医療連携システム間に限定される。しかしSS-MIXストレージは厚生労働省推奨のツールであり、個人情報保護法の改正により医療機関の保有データの開示は電磁的に可能なことから、将来的には多くの医療機関での利用が想定されるため採用した。