Japan Association for Medical Informatics

[4-G-1-01] 病院情報システムのデータ抽出依頼における抽出条件の特徴分析

*Jun Okamoto1, Tomohiro Mitani2, Satomi Nagashima2, Yousui Sato2, Kazuhiko OOe1,2 (1. 東京大学大学院医学系研究科, 2. 東京大学医学部附属病院)

Hospital Information System, DataWarehouse, Database, Real World Evidence, Data extraction

【背景・目的】東京大学医学部附属病院(以下、当院)では、医療情報管理部門の担当者が診療科からの依頼を受け、電子カルテのレプリカデータベースから診療データ抽出作業を行なっている。レプリカデータベースは電子カルテに最適化された診療業務中心的な設計であり、患者横断的な検索・データ抽出には時間がかかることが課題であった。一方で、臨床研究中核病院間でのデータ相互利用を目的とした「Real World Evidence創出のための取組み」(通称:臨中ネット)という取組みが進められており、将来的な臨中ネットへの適用も念頭において、相互運用可能な形でデータ抽出業務を効率化するデータベースを設計するには、実際の抽出依頼で要求される頻度の多い検索条件を把握することが必要である。そこで、本研究では、当院での診療データ抽出依頼の特徴分析を行い、抽出条件として使用頻度が多い検索項目を特定した。【方法】2021年に当院医療情報管理部門に提出されたデータ抽出依頼書を対象とし、1. 使用目的2. 抽出条件の後方視的観察を行った。【結果・考察】依頼件数は231件、臨床研究目的は185件(80%)であった。抽出条件に使用される頻度が高い項目は順番に1. 日付(入院日等)、2. 診療科、3. 医療オブジェクトの名称(処方名等)、その分類コードであった。また、血液検査施行回数が3回以上の患者や入院場所がICUといった抽出条件や、診療録への病名記載からの抽出といった作業上の難易度がやや高い条件も存在した。抽出条件として多い3項目(日付、診療科、 医療オブジェクト名称)で抽出条件全体の80%以上を占めており、この3項目についてインデックスを付与したデータベースによりデータ抽出業務の効率化が期待できる。短期間の単施設での後方視的研究という限界はあるが、本知見は今後二次利用データを抽出するデータベースシステムの開発に役立つと考えられる。