Japan Association for Medical Informatics

[4-G-2-01] 症例登録における入力精度の検証と正確性向上に資す支援システムのあり方の検討

*Haku Ishida1, Yasushi Hirano2, Hiroaki Nagano3 (1. 山口大学大学院医学系研究科医療情報判断学, 2. 山口大学医学部附属病院医療情報部, 3. 山口大学大学院医学系研究科消化器・腫瘍外科学)

Case Registry, Data Accuracy, Real World Data

【背景・目的】 様々な観察研究に用いられるReal world dataにおいてデータの正確性は不可欠である。特に定型フォーマットに沿って入力・登録する症例登録では、データ入力の間違いを最小化することが重要であり入力時の支援は重要な課題である。そこでNCDにおける入力精度を検証し、その結果から支援のあり方を検討することを目的とした。
【対象・方法】 当院の一診療科における2014〜2015年にNCDのWeb上でマニュアルにて登録された消化器外科専門医領域の胃癌・大腸癌手術例(192症例)における主たる情報を電子カルテ情報の退院サマリや手術、病理レポートなどの照合により、その相違の確認を行った。
【結果】 相違割合が多い項目は順に、検査結果および、体重等のその他の数値情報やTNM分類等の分類情報などであり、次のような要因が考慮された。
1. 検査結果の相違は、手術日との関連で直近日の誤り、数値の誤登録、また、NCD基準値の認識誤りなどが要因であった。また、数値情報として体重、入院日数などの誤登録も多かった。
2. TNM分類は、T分類の誤登録、リンパ節の個数による最小階層におけるN分類の誤りが多く見られた。
3. その他の誤登録として、麻酔種別、入院時診断、喫煙歴、術前輸血の有無、糖尿病の有無の誤りなどであった。
【考察・結語】 以上の結果は、数値情報の登録における誤りなど、当初より想定されたものを裏付ける内容であった。そのため、最も優先すべきは検査結果、体重などの数値情報の自動入力であり、また、麻酔種別を含めた手術記録、病理レポートからのTNM分類等の情報などの抽出が課題と考えられた。一方で、DPC様式1にも同項目の情報が含まれるが、退院後にN分類などが変わる可能性やDPC登録の入力誤りも見られ、登録時の直接の情報抽出が望まれるなど、支援のあり方の方向性が示唆された。