Japan Association for Medical Informatics

[4-G-2-03] 秘密分散・秘密計算を利用した多施設データ解析基盤の構築

*Shirou Manabe1, Masashi Yamamoto2, Hiroshi Ohira3, Naotaka Kamiya3, Yoichi Sakurai4, Ryo Kawasaki5, Akiko Sakai2, Yoshie Shimai2, Katsuki Okada2,6, Shoya Wada2,6, Shozo Konishi2, Yasushi Matsumura7, Toshihiro Takeda1,2 (1. 大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学講座 医療情報学, 2. 大阪大学医学部附属病院 医療情報部, 3. 情報通信総合研究所, 4. NTTコミュニケーションズ スマートヘルスケア推進室, 5. 大阪大学医学部附属病院 AI医療センター, 6. 大阪大学大学院医学系研究科 変革的医療情報システム開発学寄附講座, 7. 国立病院機構 大阪医療センター)

DWH, Real World Data, Secret Sharing, Secure Multi-party Computation, Multicenter

大阪大学医学部附属病院は、臨床研究中核病院として関連病院と協定を結び、臨床研究を活性化するために大阪臨床研究ネットワーク(OCR-net)を組織し、ICT基盤を構築している。その内の一つとして、後ろ向き横断的臨床研究を支援するために、多施設共通DWHを構築している。多施設共通DWHは、各病院のDPCの様式1ファイル、EFファイル、検体検査結果、画像レポートをソースデータとし、後2者は、項目コードを共通化し、検体検査結果については単位を統一化してデータを蓄積している。これにより、共通のSQLでデータを抽出することが可能となり、これを収集することで多施設から目的データを収集することができる。本方式は、抽出した結果、施設において該当する患者が少なくて個人が識別できる状態になると、抽出結果を出せなくなる問題がある。この問題は、秘密分散でデータを保存し、秘密計算で検索集計する技術を利用することで解決し得る。そこで、OCR-netの環境で、本システムを構築し、実証実験を行った。 大阪大学医学部附属病院と本システムを導入した関連病院において、2012年1月~2019年3月の共通DWHのデータを、NTTcomのデータセンタに設置した秘密分散データベースに格納した。そのデータベースからNTTグループが開発した秘密分散方式による秘密計算システム「算師」を用い、仮想シナリオとして、胃がんの患者に抗がん剤を投与し、白血球減少症が起きている患者を把握することが可能かを検証した。秘密計算のテーブル操作機能などを用いることにより、データ抽出は可能であった。仕様上の制約から演算の処理時間がかかるが、それらは演算の手順や方法などを工夫することで短縮可能であり、本方法によるデータ解析は利用可能であることがわかった。