一般社団法人 日本医療情報学会

[4-G-2-04] データの利活用に向けたナショナルセンターの
電子カルテ情報統合データベース構築におけるデータ整備の試み

*熊谷 千尋1、櫻井 理紗1,3、北村 真吾1,4、渡辺 浩1,5、星本 弘之2、波多野 賢二6、平松 治彦3、美代 賢吾1,2 (1. 国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部 データ基盤課, 2. 国立国際医療研究センター 医療情報基盤センター, 3. 国立循環器病研究センター 情報統括部, 4. 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部, 5. 国立長寿医療研究センター 医療情報室, 6. 国立精神・神経医療研究センター 医療情報室)

Standardization, Clinical Databese, Real World Data

国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部(JH)では、電子カルテ情報を活用したリアルワールドデータ収集・提供基盤の構築事業(JASPEHR)にて臨床情報データベース(6NC-EHRs)を構築している。6つのナショナルセンター(NC)の電子カルテからSS-MIX2/MCDRSを用いてデータを集積しているが、NC毎に標準化の対応状況が異なっており、二次利用推進のためにはデータの品質向上が必要不可欠であった。そこで、2022年5月時点でのデータを用いて品質評価と標準コードへの変換等作業を実施した。
 データの検証は、まずSS-MIX2標準仕様準拠状況・NC間のデータ突合・値の欠損等を全180項目に渡って多角的に調査した。標準化対応は、各項目コードに関するローカルコードマスタを基にNC毎の標準コード対応表を作成し、ローカルコードを置換した。また必要に応じ、SS-MIX2で未定義のコードに対し、6NC-EHRsDB共通コードを定義し統一を図った。
 検証の結果、作業開始時点では4施設(622,162名・206,703,005レコード)の標準コード対応状況はYJコード98.5%・HOT9コード64.5%、JLAC10コード77.3%、ICD-10コード99.5%・病名管理番号73.1%であった。更に問題の切り分けをし、性別等必須項目の抜けや薬品名のみ漏れているといったケースは、ベンダに調査・対応を依頼した。また標準コードへの置換では、あるNCでYJコードが振られていない196,416レコード中196,019レコード(99.7%)を標準化対応できた。
 これらの結果、現時点で9割程度標準コードの付与が可能と推定している。今後更に向上すべく、継続的にクリーニングを実施する。また問題点をNCやベンダにフィードバックし、我が国の医療情報におけるリアルワールドデータの品質向上に努める。