Japan Association for Medical Informatics

[4-G-2-07] がん臨床統合データベースの活用:婦人科における手術・薬物療法・放射線療法の統合管理

*Ayana Kasahara1, Terumi Tanigawa2, Hikaru Takahashi1, Kazuhiro Suzuki1, Masahiko Oguchi1 (1. 公益財団法人がん研究会有明病院 医療情報部, 2. 公益財団法人がん研究会有明病院 婦人科)

Clinical cancer information, Unified integrated database, Gynecologic oncology, Template

当院は2017年から「がん診療に関する臨床情報を統合的に保存・管理するデータベース(以降「統合DB」)」の開発に着手し、外科系8診療科、内科系3診療科にて運用中である。 婦人科データベースの構築にあたり、第1フェーズで満たすべき基本仕様として次に示す2点が提示された。1)手術症例だけでなく薬物療法/放射線療法例のデータも収集すること、2)婦人科領域における複数のがん種の統合管理・横断的データ検索が可能であること。 当院の婦人科で扱う主ながん種は子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌、膣癌、絨毛癌の5種類があり、それぞれで標準治療プロトコルが異なりデータ項目も様々である。 これらのがん種の診療情報を漏れなく収集しデータベース化する方法として、従来行っていた「電子カルテの手術実施情報を起点としてデータを作成する方式」から「初診テンプレートを起点とする方式」に変更した。電子カルテの初診テンプレートは婦人科を受診した全患者の初診時に作成する運用とした。これにより薬物療法、放射線療法のみの症例も拾えるようになった。統合DB内の婦人科データベースには、子宮頸癌では171項目(術前:33、手術:31、術後:24、放射線:28、薬物療法:40、転帰/再発:15)があり、全てを手入力するのは誤記の可能性などデータの信頼性が損なわれる恐れがある。そのため初診以外にも手術、術後、病理の3つのタイミングでがん種毎に必要な項目を設けたテンプレートを電子カルテに作成し、入力した内容を統合DB側に半自動的に取り込む機構を開発した。また、統合DBには電子カルテや各部門システムから自動的に収集している薬物療法/放射線治療の情報、生体検査情報等が2005年から蓄積されているため、これらの情報と組み合わせた横断的な検索も可能である。上記機能を統合DB上に実装し、婦人科における手術・薬物療法・放射線治療情報の統合管理を実現した。