Japan Association for Medical Informatics

[4-H-1-05] BioPax形式薬剤・生物データベースを基にした薬力学的作用機序経路探索への応用

*Tatsuya Tanaka1, Toshiaki Katayama2, Takeshi Imai1 (1. 東京大学大学院 医学系研究科, 2. ライフサイエンス統合データベースセンター)

Knowledge Graph, Pharmacodynamics, Drug Repositioning

【背景・目的】 薬力学的作用機序の探索はDrug-Repositiongや薬物相互作用、副作用の推論において重要な要素技術であるが、既存の薬剤・生物学関連データベース(以下DB)で作用機序情報を網羅的に含むものは存在しない。しかしBioPax形式に準拠したDBでは代謝シグナル伝達経路が表現されており、これを適切に解釈することで薬力学的機序推論へ転用できると考えられる。そこで、本研究では既存のBioPax形式DBに対し3種類の情報の追加を行い統合することで、薬力学的推論へ応用可能な知識DBへ変換する手法を提案・評価することを目的とした。【方法】 BioPax形式を変換する事で極性情報(増強/減弱)の追加を行い、Drug Bank・Pathway DB (Reactomeなど複数)・Gene Ontology (GO)・Comparative Toxicogenomics Database (CTD) を統合しRDF形式で表した。さらに (1)GOのアノテーションに加えて、減弱状態のタンパク質に対するアノテーションを機械的に追加し、(2)CTDにおける“表現型-適応症”間のリンクについてはCause/Cureの区別を行った。(2)は作業量が膨大なため本研究では評価用に一部(100件)について用手的に行った。 以上により作成したRDF-DBに対する経路探索によって、Drug Centralの “承認薬-適応症” ペアについて薬力学的機序の説明可能性を評価した。【結果・考察】 Cause/Cureの区別を用いず行った中間のPathway DBの比較ではReactomeを用いた時に最も高い説明可能性(82.7%)を示した。(2)で作成した一部のデータを用いCureだけに絞って探索した場合でもほぼ説明可能性の低下は無く、今後全体に渡って意味関係の区別を行っても同等レベルの説明可能性が担保できると推察された。