Japan Association for Medical Informatics

[4-H-1-08] ペイシェントジャーニーに於ける患者群を探索的に比較検証できる仕組みの研究

*Yohei KAWASE1, Misato KOTAKE1, Yuichi TSUCHIMOTO1, Takuro OYA1, Akinori ISHII1, Masahiro KIMURA1, Michihiko AKI1, Katsuya TSUCHIHARA2, Kenichi HARANO2, Toru MUKOHAR2, Takehiro NAKAO2, Mai ITAGAKI2, Ai KATO3, Hideaki KAGITANI3 (1. 富士通(株), 2. 国立研究開発法人 国立がん研究センター, 3. 武田薬品工業(株))

Patient Journey, Real World Data, Electronic Medical Records, Statistical Analysis

近年のデジタル技術の進展に伴い、多様なReal World Data(RWD)が蓄積され、その利活用に対する期待が高まっている。RWDの中でも、電子カルテデータは、過去の患者治療のアウトカムを詳細に追跡できるという特徴を持つ。電子カルテデータを利活用することによって、患者のペイシェントジャーニーを分析することで、医療従事者向けの治療の意思決定や診療の支援、患者の潜在ニーズを把握し、治療の改善や新薬の開発に繋がると期待できる。  RWDの利活用に向けて取り組まれる中で、電子カルテデータを中心とした診療情報の分析、特に、時系列の分析は、時間軸の選定や可視化の取り組みに関しては、まだ発展途上と言わざるを得ない。従来の取り組みとして、J.Yangらは、ペイシェントジャーニーを時間軸で可視化できるツールを開発した。しかし、このツールでは、患者群に該当するデータを人手で抽出し、患者群を選びなおしながら、探索的にデータの特性(統計量の算出、統計量の有意差)を分析する必要がある。本研究では、電子カルテデータを利活用し、容易にペイシェントジャーニーを可視化したツールの上で、探索的に統計分析できるツールの技術開発を目的とする。  本研究で開発したツールは、目的達成のために、2つの機能を重要視する。1つ目は、患者全体のペイシェントジャーニーを電子カルテデータと紐づけることによって、患者群を任意に選択し、統計量を閲覧しながら、インタラクティブに有意差を比較できる機能である。2つ目は、選択した2つの患者群間の統計量の差異の因子となりうる候補を、機械学習の分類モデルを用いて選択する機能である。この機能により、様々な統計量の組合せで構築したモデルから、適切なモデルを選択し、それらの組合せ因子を閲覧できる。これらの機能を搭載したモックアップを構築し、探索的に統計分析できるツールの利用と効果について報告する。