Japan Association for Medical Informatics

[4-H-2-05] 標準12誘導心電図による肥大型心筋症を対象とした心不全重症度分類モデルの検討

*Yuki Sugiura1, Sanshiro Tougou1, Sayumi Suzuki2, Kazuto Ohno2, Michio Kimura3, Yuichiro Maekawa2 (1. 浜松医科大学 医学部医学科, 2. 浜松医科大学 内科学第三講座, 3. 浜松医科大学 医学部附属病院 医療情報部)

Hypertrophic Cardiomyopathy, Electrocardiogram, Deep Learning, Transfer Learning, Class Activation Mapping

【背景】心電図データの自動解析は近年深層学習(DL)により行われ、肥大型心筋症(HCM)を対象としたDLモデル構築は先行研究として報告されている。しかし、先行研究ではスクリーニングを目的としており、心不全重症度等の病態評価ができない。より有効な早期介入には、検診段階での病態把握が求められる。また、HCMは有病率が低く、DLの適用に十分な症例数を確保し難いため、少数データに対して有効なモデルを検討する必要がある。
【目的】 本研究は、標準12誘導心電図による肥大型心筋症を対象とした、有効な心不全重症度分類モデル作成を目的とする。
【方法】浜松医科大学にて構築されたHCMレジストリ166症例および心不全(HF)311症例を対象に、NYHA分類、NT-proBNPを用いたmild, moderate, severeの3段階の重症度クラスを設定し、381件の訓練データ、96件のテストデータに層化分割した。はじめに、PTB-XL(心電図オープンデータ)約2万件を用い、5マルチラベルCNNモデルを作成した。同モデルを事前学習済モデルとして、重症度3クラスに対して転移学習させた。モデルの妥当性を評価するため、Grad-CAMを用い可視化した。
【結果】PTB-XLで構築したCNNモデルはテストセットに対してAUC0.914であった。HCM心不全重症度分類モデルはテストデータに対して、AUC0.81であり、各クラスのAUCは、mildで0.74、moderateで0.61、severeで0.84であった。
【結語】 大規模心電図データセットを用いて事前学習されたモデルを転移学習することで、症例数の少ないHCMデータセットであっても、心不全重症度分類に有効なモデルを構築することができた。Grad-CAMによって、モデルの関心領域が、判断根拠として妥当であることが示唆された。