Japan Association for Medical Informatics

[4-H-2-06] OTC医薬品解熱鎮痛成分における重篤副作用とリスク因子解析: 機械学習手法を用いたFDA副作用報告(FAERS)データの解析

*Kazuma Nomura1, Hironao Yamada1, Yuki Matsuda2,3, Kunihiko Kitagaki1, Koichi Masuyama1, Lisa Kroon4, Keiichi Chin1 (1. 東京薬科大学薬学部, 2. 東京大学大学院工学系研究科, 3. 株式会社mediLab, 4. University of California, San Francisco, School of Pharmacy)

FAERS, Python, Machine Learning, OTC

[背景と目的] OTC医薬品は比較的安全な医薬品として利用されているが、重篤副作用も稀に発生している。米国FDAは、FAERS(FDA Adverse Event Reporting System)で、OTC医薬品含め年間約200万件の副作用報告(患者属性、使用目的、併用薬、副作用名、重症度等)を公開している。そこで、本研究では、OTC医薬品解熱鎮痛成分の重篤副作用リスクについて、FAERSデータを用いて、解析することとした。
[方法] FAERSデータから、アスピリン 325 mg、イブプロフェン, アセトアミノフェン単味成分 (OTC商品) データを抽出後、Pythonに実装されている機械学習手法を用いて解析した。重篤副作用リスク因子と特徴量評価はFI (Feature Importance) とPD (Partial Dependence)を計算し解析した。重篤副作用のモデル作成にはRandom Forestを用いた。モデルの精度はROC-AUCを用いて評価した。
[結果] 抽出副作用報告数と重篤副作用報告割合はアセトアミノフェン 11,477件 (13%)、イブプロフェン 25,474件 (30%)、アスピリン 3,221件 (75%)であった。併用薬数に関するリスク因子解析(PD)から3成分全てで併用薬数の増加に伴い重篤リスクが増し、年齢に関しては、アスピリンでは重篤副作用リスクがほぼ変化せず、他2成分では年齢と共に減少傾向を示した。併用薬数特徴量(FI)は0.10 – 0.23、年齢は0.48 - 0.53であった。重篤副作用モデルのROC-AUCは、アセトアミノフェン 0.76、イブプロフェン 0.69、アスピリン 0.60であった。
[考察] FAERSデータ解析から、OTC医薬品解熱鎮痛成分の重篤副作用に対する併用薬数や年齢の影響が示された。限界点として米国での副作用報告であること、副作用報告制度による影響などが挙げられる。