一般社団法人 日本医療情報学会

[4-I-1-06] 病院給食業務におけるインシデント・アクシデント防止のためのAI活用の検討

*鈴木 一洋1、笠原 あや菜1、高見澤 亮2、布施 竜一2、関 悠一2、斎野 容子3、熊谷 厚志3、小口 正彦1 (1. 公益財団法人がん研究会有明病院 医療情報部, 2. キヤノンITソリューションズ(株) エンベデッドシステム事業部, 3. 公益財団法人がん研究会有明病院 栄養管理部)

Hospital food service, Artificial Intelligence, Image recognition

当院は、内閣府のSIP第2期から開始された「AIホスピタルにおける高度診断・治療システム」事業に採択され、AI技術の積極的な活用により、医療職だけでなく患者や家族の負担軽減・診断補助・教育や診療時コミュニケーション支援等を目指した取り組みを行っている。本発表は、キヤノンITソリューションズ(株)との共同作業で開発を進めている「病院給食業務を補助するAI開発」について報告する。当院のような院内調理の場合、病院給食業務におけるインシデント・アクシデント(以後「IA」)は作業者の経験や注意力が多く影響していることが考えられ、AIによるガイドの有効性を検討している。現在開発を進めているAIは、1)配膳間違いチェック 2)食器内異物検知 の2点である。
1)スマートグラスに搭載されたカメラで、トレイ内の食札に印字されたQRコードからメニュー情報を収集し、配膳されている料理との整合性をチェックする。AIがトレイ上の料理を検出・認識して、一致率が低い料理を「要チェック」と指摘することで、病棟への搬出前に確認・修正を可能にする。【結果】353種の料理(画像4246枚)を学習し、動画60ファイルを使って料理名の認識を試行した結果、[料理を正しく認識]する割合は76.7% [別の料理と認識] する割合は19.2% であった。
2)年に何回かは軽微な異物混入のIAが発生している。食器洗浄から盛り付けの間が異物混入の高リスクと仮定し、盛り付け直前の食器内を産業用カメラで撮影し、異物混入の代表である毛髪を検知する仕組みを検討中である。【結果】[学習用データ]食器:6種類、画像:50枚/1食器 [評価用データ]食器:12種類 画像:10枚/1食器 にてAI学習と検証を行った結果、[毛髪を正しく認識] 割合は80.4% [食器の模様等を毛髪と誤認識] 割合は18.0% [毛髪を未検出] 割合は1.6% であった。