一般社団法人 日本医療情報学会

[4-I-1-08] がん登録実務者育成を目的とした教材と教育用がん登録システムの評価

*坂本 千枝子1,2、外山 比南子1、丸田 美保子1 (1. 医療データサイエンス研究所, 2. 前 国際医療福祉大学)

In-hospital cancer registry, Cancer registry summary, Cancer data analysis

【背景】院内がん登録拠点病院のがん登録実務者(以下、実務者)は、精度の高いがん登録だけでなく自院のがん情報を分析・評価できることが望ましい。 【目的】がん登録実務者育成のための、登録演習用教材の作成と教育用がん登録システムを開発する。 【方法】教材は、「模擬サマリ」(以下、サマリ)を大学院開発の教材DB内に作成した。「教育用がん登録システム」(以下、登録システム)は、院内がん登録演習用システムと、院内がん登録データを利用して集計・分析するためのシステムをFileMakerで構築した。学生と実務者、教員が演習し、アンケートに回答した。 【結果】サマリは、実務経験に合わせて詳細な記述の症例と登録に必要な情報に絞った症例を作成し、そのうち131件をPDF化した。登録システムは、登録項目の解釈・説明の情報提供やプルダウン等の入力補助機能を設けた。また、①データの検索・項目別集計及び結果のCSV出力②登録情報を用いた統計分析演習③自施設の院内がん登録データをアップロードして利用、の機能を設けた。演習は学部生3名とがん登録中級資格者の実務者3名、初級資格者の学部教員1名が行った。全員がサマリから登録項目を見つけ易いと回答した。登録システムは、補助機能の情報提供は実務経験の有無に関わらず高評価だった。実務者から検索条件の追加等具体的な提案があった。自由記載で、学生はがん登録実務者資格を取得したい、実務者は病院実習や職員研修に利用できる、教員は授業で利用したいと回答した。 【考察】登録演習に加えて院内がん登録データの統計分析ができるので、希望する個人や施設に教材やシステムを提供することで、学内だけでなく広く実務者育成の教育ツールとして役立つものと考える。 【結論】実務経験に合わせた教材作成と登録情報での統計分析演習に加えて自施設の院内がん登録データの利用もできる教育用がん登録システムを開発した。