一般社団法人 日本医療情報学会

[4-P-1-01] 国公立大学病院Webサイトの語彙・漢字の難易度測定

*田中 武志1 (1.広島大学病院医療情報部)

Web Accessibility, Medical Term, Kanji Character

[はじめに]視覚障害者にとって慣れない言葉や文字はWeb閲覧の際の障害になり易い。 Webアクセシビリティのガイドライン(JIS X 8341-3の達成基準3.1.5;適合レベルAAA)は義務教育修了レベルの読解力で理解可能なコンテンツの提供を推奨する。国内の医療機関のうち最も幅広い範囲の業務を行い且つ公共性の高い国公立大学病院のWebサイトの語彙および使用されている漢字がこの基準を満たしているのか否かについて調査を行った。[方法]2022年6月に53国公立大学病院のWebサイトを対象に、最も利用頻度が高く且つ情報が集約されているトップページに掲載されている文字情報を取得し、日本語難易度測定ツールObi-3を用いて(高校生までの12学年および大学の全13レベルの教科書を基準に作成した各文字の出現率との類似度により)各トップページの語彙レベルを測定した。更に義務教育で学ばない常用外漢字を抽出し、出現頻度と各トップページの総文字数および測定した語彙レベルとの相関を求めた。[結果]語彙レベルの平均は13段階中9.81で、55%の施設が中学3年生レベル(9)以下、79%が高校一年生レベル(10)以下であった。常用外漢字は74%の施設で使われており、医学用語の「腔、頸、膵、膠」等が複数の施設で共通して見られ、それ以外では殆どの場合、人名や地名などの固有名詞に関したものであった。トップページの総文字数と常用外漢字の出現頻度には正の相関が見られたが、語彙レベルと常用外漢字の出現頻度の間には相関は見られなかった。[考察]読解の難易度は語彙や漢字だけでは決まらないが、語彙については多くの施設で高校1年生レベル以下、常用外漢字の使用も必要不可欠な場合が殆どであり且つ語彙レベルに大きく影響していないことから、今回の範囲では国公立大病院Webサイトの多くは上記基準からの大きな逸脱はないと考える。