一般社団法人 日本医療情報学会

[4-P-1-03] 適時声かけを行うコミュニケーションロボットを用いた服薬支援システムの実証実験

*大野 実1、津崎 久宣1、甲斐 光1、河村 雄一郎1、石川 慎一郎1、滝島 啓之1、長野 一勢2、太田 純子2、成瀬 慶子2 (1.セコム株式会社、2.セコム医療システム株式会社)

medication administration, communication robot, remote support system, homecare

高齢患者の薬の飲み忘れは,薬物治療効果の観点からも医療費増大の観点からも大きな課題となっている.
そこで,我々は高齢者の生活に潤いをもたらすコミュニケーションロボット(BOCCO:ユカイ工学(株)社製)を用いたコミュニケーションサービスと,高齢者の服薬状況をリアルタイムに把握できるお薬カレンダー型のIoTデバイス(かれん:リードエンジニアリング(株)社製)を組み合わせた「服薬支援システム」を構築した.本システムは,患者宅に設置したコミュニケーションロボットを通じて,セコムから患者へ日々暮らしの声かけ(挨拶,様々な注意喚起など)を行い,患者からは「その日の出来事」や「自身の考え」などを話してもらう双方向のコミュニケーションサービスを実現し,同じく患者宅に設置するお薬カレンダー型デバイスを連携させて,親しみのあるロボットが患者の服薬状況を把握・服薬支援を図る仕組みである.本システムでは,適切な時間帯に適切な薬が取り出された場合は,服薬習慣の継続に繋がる「励ましの声かけ」や,所定の時刻を過ぎても薬が取り出されていなければ,服薬を促すような「リマインドの声かけ」の自動化を実現している.
本システムの運用上の課題抽出や運用する薬剤師の業務負荷を把握するために5名の患者(年代:80代(3)/90代(2),性別:男性(1)/女性(4),同居者:配偶者(1)/独居(4))に対して1名につき約3か月間の実証実験を行ったところ,4名の患者で実施前よりも飲み忘れが改善する傾向が見られた.
大会では,対象患者の服薬状況の変化を示すとともに,本実証実験を通して明らかになったシステム上の改善点や運用上工夫を要する課題,薬剤師の業務負荷等を共有したい.また,高齢者とコミュニケーションロボットの親和性についても併せて議論したい.