Japan Association for Medical Informatics

[4-P-1-04] 糖尿病性腎症重症化予防プログラム効果検討のためのNDBビッグデータの利用について

*Asuka Ikeda1, Makoto Fujii1, Yuko Ohno1, Yaya Li1, Yuko Nakamura1, Kayo Godai1, Kei Kamide1, Mai Kabayama1 (1.大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻)

big data, NDB, medical visit, diabetes mellitus, health insurance

【背景】
国はデータヘルス改革において超高齢社会の問題解決の分析や効果的な政策立案に向けて、健康・医療・介護のビッグデータ活用を推進している。健康寿命の延伸および医療費適正化の観点から糖尿病性腎症重症化予防は国の重要課題とされており、平成28年「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」が厚生労働省により策定された。

【目的】
NDBビッグデータを用いて、市町村国保におけるプログラム施策施行前後での受診状況の変化より、その効果を明らかにすることを目的とした。

【方法】
NDBデータを用いプログラム開始の前後データ(2015年度と2018年度)において、両年とも同一の市町村国保に所属し特定健診を受診した糖尿病に該当する集団を抽出した。保険者データヘルス全数調査をもとに、5つの取組要件の充足状況により保険者を「全要件充足」「一部要件充足」「取組なし」の3段階に分け、一般化線形混合モデルを用いて取組レベル別に医療機関受診行動の比較検討を行った。

【結果】
抽出された208,388人を検討した結果、取組なしと比較して全要件充足で医療機関受診行動に対し有意に高い上乗せ効果が認められた。サブグループ解析を行い医療機関受診行動の効果量を全体と比較した結果、全要件充足のHbA1c7.0以上のグループ、尿蛋白+以上のグループ、最高血圧140mmHg以上のグループにおいてより大きな効果が認められた。

【結論】
保険者の取組レベルの違いが受診の自然な増加に上乗せの効果を持った可能性が示された。プログラムにおいてより積極的な対応が必要と判断される検査値に該当するサブグループに対しては更に大きな上乗せ効果が見られたことから、対象者に保険者のより強力な受診勧奨が行われた可能性が示唆された。保険者情報を併せて解析することでNDBデータを用いたプログラム効果の検討を行うことができた。