Japan Association for Medical Informatics

[4-P-3-03] 医療用医薬品PTPシートのGS1データバー表示に関する調査

*Kenichiro Nagata1, Kayoko Muraoka1, Takahiro Nakamura1, Shigeru Ishida1, Toshikazu Tsuji1, Kimitaka Suetsugu1, Takeshi Hirota1, Akiko Kanaya1, Nobuaki Egashira1, Ichiro Ieiri1 (1.九州大学病院薬剤部)

GS1 data bar, press through package, drug collation

【目的】近年,医薬品の取り違え防止を目的として,すべての医療用医薬品にGS1データバーが表示され,薬品照合に用いることが可能となった.しかし,内用薬は調剤時のシート切断によりGS1データバーが欠けてしまうため,薬品照合を円滑に実施することが難しい.医薬品によっては,1錠または1スリットあたりに1つのGS1データバーを表示しているものもあるが,多くの医薬品ではそのような配慮は行われていない.本研究では,医療用医薬品におけるGS1データバー表示の現状を調査するとともに,実処方データの解析を行い,調剤時にGS1データバーが欠損する可能性がある処方(集薬量が1シート未満の処方)の発生状況を明らかにすることを目的とした.
【方法・結果】2021年8月末時点における当院採用薬のうち,製剤包装がPTPシートである錠剤・カプセル剤を調査対象とした.調査対象薬の合計は768品目であり,内訳はグループ①(1錠ごとに1つのGS1データバーを表示)が7.6%(58品目),グループ②(1スリットごとに1つのGS1データバーを表示)が7.2%(55品目),グループ③(その他)が85.3%(655品目)であった.また,集薬量が1シート未満である処方の発生率は,計数調剤で54.5%,粉砕調剤で71.6%,一包化手撒き調剤で54.4%であった.
【考察・結論】本研究の結果から,1錠または1スリットごとに1つのGS1データバーを表示している医薬品は少ない(14.7%)ことが示された.また,集薬量が1シート未満の処方の発生率はいずれの調剤方法においても54%以上であったことから,調剤時にGS1データバーの欠損が高頻度に生じていることが示唆された.内用薬GS1データバーの利活用を推進するためには,本研究で明らかとなった調剤時におけるGS1データバー欠損の問題を製薬企業が認識し,シート設計の改良に取り組む必要がある.