Japan Association for Medical Informatics

[LS11-02] 跳躍する電子カルテ - 医療にDXをもたらす、非連続な革新を

*美代 賢吾1 (1. 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 医療情報基盤センター長)

 あらゆる新しい取り組みもいずれ陳腐化し、次の革新的な仕組みに取って代わられる。2007年に在籍したドイツのPLRI医療情報学研究所では、番号表示用の小さな白黒ディスプレイしかないNOKIAの貧弱な携帯電話を持つドイツ人にとって、私のNEC製の大型カラー液晶ディスプレイの二つ折携帯電話は羨望の的であった。今ではそれが、ガラケーと自虐的に呼ばれる存在に成り下がっている。Windows3.1の登場により、日本の医療情報システムベンダーは、従来の大型計算機とファンクションキーを駆使するオフコン端末から脱却し、世界に先駆けて、マウスとウィンドウシステムのGUIを搭載した革新的なシステムを開発し、市場に投入した。あれから20年経ち、多くの業務改善と医療安全に貢献し、医療を支えるシステムに成長したものの、医療そのものを変革する仕掛けとなるには次なる飛躍が必要である。NCGMでは、当然の機器と思われているキーボードやマウス、そしてディスプレイさえも無くした、新たな電子カルテシステムの研究開発をNECと共同で進めている。デジタル技術を駆使したこのような非連続的な進化が、医療に対してどのような変革をもたらすか、そして同時に、制度や法律を含む医療側にもどのような変革を求めるのか、参加者とともに考察したい。