Japan Association for Medical Informatics

[2-B-1-02] Well-being最大化のためのナラティブに基づく介護情報の可視化と共有

*Shogo Ishikawa1 (1. Shizuoka University)

介護・福祉領域では人材不足や継続性に関する大きな課題に直面している.介護においては個別ケアが基本となり,本人のナラティブを中心に得られた心身状態や環境要因等の多様な要素を統合することでケアの方向性を決定し,残存力を活かして ADLの回復やPurpose in lifeの創出を目指すことが重要である.ケアにおいては病気の回復の支援,ADLを安定させる支援,さらに,Well-beingの支援があるが,それらは複合的であり,多職種が連動することでそれぞれを実施することにつながる.一方で,これらの多職種実践は職種の専門性やエキスパートの暗黙的な実践知になっており,これまで情報処理学会の高齢社会デザイン研究会では情報技術を活用して形式知化するための役割を担ってきた.適切な情報化と利用が促進されることで,多職種連携という視点を超えて,ケア従事者が多様な専門性を外付けし,エキスパートの思考で実践することにつながる. 本発表では,まず,介護で活用するケアプラン,アセスメント,実施記録の各種情報がどのように活用されているのか分析した結果を述べる.Well-beingを目的としたケアが実践されている施設では,実施記録情報やアセスメントがナラティブを通して得られたICFにおける本人の個人因子や環境因子を重視しており,ケアプランでは参加に関する項目が掲げられていた.一方で,医療情報の活用についての課題が見られ,認知症の医療情報の活用に関する教育実践を紹介する.最後に,情報の可視化による教育効果とその限界について述べ,介護DXのためのWell-being支援システムに向けた展望を考えてみたい.