[2-B-3-03] RGBDカメラと仮想センサを用いた個別環境に合わせた日常生活状況の把握
Elderly behavior monitor, Injury Prevention, Life functioning
日常生活では高齢者の転倒などの事故が発生している。救急搬送などのデータから事故が多いことは分かっているが、その予防策は、手すりをつける、といった限定的な対策か、身体を鍛えるトレーニングに留まっており、その効果は限定的である。これは、実際に転倒が発生する環境、行動、状況がはっきりしていないことに起因する。事故や生活は、個人や個々の生活環境と密接に関係しており、個人や個々の生活環境に合わせて生活を理解する必要があるが、それが十分にできていないため、予防策を具体的に検討することが難しい。これは、転倒事故に限らず、身体機能の変化によって発生する行動や動作の変化やそれによって生じる生活の変化を把握できていないため、事故や介護リスクの早期発見といった、日常生活で起きる課題の解決が難しい。 近年のAIやIoTセンサ技術の発展により、日常生活環境内で常時見守りをすることも十分可能になりつつある。しかしながら、センサの選定やその配置、行動やリスク状況を認識する機能を個別に合わせて開発することは手間やコストの面から難しい。そのため、1種類のセンサから情報を取得し、得られたデータから生活状況の把握に必要な情報を取得するための機能を、個人や個別環境に合わせて容易に構築できる必要がある。本研究では、RGBDカメラと,RGBDカメラから取得した3次元点群データ空間上で、センサの役割を果たす仮想センサを用いて,生活状況の把握に必要なモノとのインタラクションを中心に,生活イベントを抽出可能な機能を、個人や個別環境に合わせて構築可能な手法を開発した。仮想センサは、具体的には、環境の点群データと人の骨格情報を用いて、その位置関係や点群データの変動から、行動や状況を検知するものである。開発した手法を、実際の介護施設や一般住宅でRGBDカメラを用いて取得したデータに適用して行った生活状況の把握についても紹介する。