一般社団法人 日本医療情報学会

[2-B-4-05] Real World Data、Real World Evidenceの薬事承認申請等への活用に関する課題

*柴田 大朗1 (1. 国立がん研究センター)

RWD, RWE, EHR, registry, regulatory application

近年、国内外を問わずReal World Data(RWD)の医薬品等の開発・薬事承認申請への活用、特に希少疾病等、通常の治験(臨床試験)実施が困難な領域での活用が注目されている。米国では2016年に21st Century Cures Actが成立し、薬事承認申請へのRWD、Real World Evidence(RWE)の活用に関わる議論が活性化したが、この目的でのRWD/RWE活用は、アカデミアにおける研究とは必ずしも同一ではない観点からのデータの信頼性担保やプロセスの透明性の確保等が求められるため、様々なステークホルダー間で議論が深められてきた。本邦でも2015年度に国立高度専門医療研究センターで整備されるレジストリを基盤とし薬事利用のあり方について検討する厚生労働省の特別研究班(研究代表者 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 武田伸一先生)が立ち上がり、厚労省のClinical Innovation Network事業やAMEDの研究開発課題によるレジストリ構築・レジストリ活用に関わる研究が進められてきた。
 本邦では当初、治験外のデータをどのような形で治験と同水準で収集・管理するかという観点からの議論が多かったが、厚労省の通知“「承認申請等におけるレジストリの活用に関する基本的考え方」について”(2021/3/23 薬生薬審発0323第1号, 薬生機審発0323第1号)では必ずしも治験と同じ手続きが求められる訳ではない旨が明確化され、利用目的に応じたデータの信頼性の担保方法を取り得ることが知られるに至った。一方、その担保方法は画一的なものとはなり得ないことから、関係者間で経験を共有し議論を深めていくことが必要である。本発表ではAMED研究班での検討に基づく論点整理・対応案等を提示しつつ、RWD/RWEの活用のために必要なことを議論したい。