一般社団法人 日本医療情報学会

[2-C-1-01] 日本・リトアニア共同研究を通じて得られたわが国の電子カルテシステムの課題と解決策

*中村 清吾1 (1. 昭和大学)

2021年10月より、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)医療分野国際科学技術共同研究開発推進事業の一つとして、「日本・リトアニアにおける遺伝性乳癌の遺伝学的特徴の比較検討及び乳房MRIによる遺伝性早期乳癌の構造解析に基づく検出能向上に関する研究」を行っている。  日本からは、昭和大学、慶応大学、がん研有明病院、聖路加国際病院、理研が参加し、リトアニアからは、同国の国立がんセンターが参加している。  今回の研究では、第一段階として、遺伝性乳癌の原因遺伝子を、すでに検査そのものがわが国の保険適用となっているBRCA1/2を含む27遺伝子を理化学研究所で測定し、電子カルテに含まれている患者医療情報と突き合わせを行いデータベース化することを計画した。しかしながら、病院ごとに、電子カルテの情報を抽出するための予算化が必要であったため、二重入力を余儀なくされた。一方、リトアニアでは、電子カルテの政府による一元管理がなされており、データ抽出が極めて簡便であった。今後わが国では、マイナンバーカードの保険証としての利用を契機として、医療情報の共有に関する機運が高まっていくものと想定される。本シンポジウムでは、両国間の電子カルテの在り方に関して比較し、電子カルテを中心とするわが国の医療情報システムにおいて、将来に向けて改善すべき点を整理し、今後の一助としたい。