[2-C-1-03] 遺伝性乳癌における日・リトアニア共同研究の概要と研究過程で見えてきた課題
BRCA, HBOC, MRI
AMED傘下の日本・リトアニア共同研究では、日本側は昭和大学を中心に、慶応義塾大学病院、聖路加国際病院、癌研有明病院の4つの施設が参画し、リトアニアはリトアニア国立がんセンターを代表とし、両国間の人材交流も目的の一つに加えている。 研究は、以下の3つの柱から構成されている。 研究1.両国間におけるBRCA病的バリアントの比較 研究2.BRCA遺伝子以外の遺伝子バリアントの検出の両国間の比較 研究3 . 解析ソフト(OLEA)を使用した遺伝性乳癌早期検出のための検討 研究1.は、JOHBOC(日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構)のHBOC登録データによるデータを用い、リトアニアは、すでに国単位での検索可能な医療情報システムを用い相互のデータ比較を行い、人種的差異の検討を行うことを目的としている。 研究2 .は、BRCA遺伝学的検査を行う遺伝性乳癌を行う対象の乳癌患者に対し、BRCA以外の遺伝性乳がんのリスクとなりうる27遺伝子を測定し、両国間の人種差による遺伝学的差異や、臨床病理学的差異の検討を行う。 研究3. は、すでに発症している症例のMRI画像の検討を構造解析ソフトにて行うことで、その特徴量を検証することで、遺伝性乳癌患者の術後経過観察やサーベイランスにおける早期乳癌検出に寄与する診断アルゴリズムを開発することを目的としている。 リトアニアでは、健診情報、個人ゲノム情報を含む医療情報が政府によって一元管理されているため、今回の研究におけるデータ抽出は容易である。しかし、日本では、病院ごとに電子カルテシステムの仕様が異なるため、データ収集のために、膨大な労力とコストを要する。 したがって、本研究の主目的とは異なるが、本研究を通じて、2国間の医療情報システムの在り方について、比較検討したので報告する。