病院運営において、データの分析とその結果を視覚的に表現する「可視化」は、重要かつ効果的な手段として認知されている。データを可視化することは、膨大な情報を簡潔な形で捉えることができ、病院運営において課題の把握や改善策の検討、業務効率化において重要な要素となっている。本稿では、データの可視化ツールが病院運営でどのように活用されるかについて紹介する。
　病院運営において、データは日々蓄積され、様々な側面からの情報が収集されている。しかしながら、これらの情報を効果的に活用するためには、データを収集し加工しなければならない上に、単なる数字や文字列だけではなく視覚的に理解できる形式で提出することが求められる。そのような状況でデータ可視化ツールを活用することで、面倒な集計作業を人の手でする必要はなくなり、自動でデータをグラフやダッシュボード形式で視覚的に表現し傾向やパターンを素早く把握することが可能となる。 また、データの可視化ツールを利用することでタイムリーな情報提供も実現する。例えば、病院内のベッド使用率や手術室の稼働状況をタイムリーに可視化することで適切なリソースの配分が可能となり、稼働率の向上や作業量の平準化が可能となる。そして、病院内の医療スタッフや管理職、事務スタッフといった立場の異なるスタッフが同じデータを共有することで意思決定の基盤が一致し、組織全体での連携が強化されるほか、複数部署で同じような数字を作成する二重三重の手間を削減することができるようになる。
　以上のように、データの可視化はツールを通じて情報を明確に伝え、効果的な意思決定や情報共有を支援することで、病院の運営効率や質の向上に貢献することができると考えられる。また、データの可視化を進める上でデータモデルの共通化を目指すことでより効率的なデータの活用を実現することが可能となる。