一般社団法人 日本医療情報学会

[2-C-3-04] 多様な院内データ利活用を実現するSDMの効果と品質向上の取り組み

*飯田 征昌1 (1. 蒲郡市民病院)

蒲郡市民病院では、リアルタイムでEMRのデータを検索・抽出可能なDWHを構築し、Excel・AccessをはじめBIツールなどのデータベース接続が可能なツールを幅広く利用しながら、業務・診療・研究を支援するツールの開発や運営・経営のリアルタイム分析・可視化を推進している。その遂行に大きく寄与するのが、医療用DWHの共通データモデルSDMの採用である。
当院のEMRは独自仕様かつ高い汎用性を有する反面、データモデルの無秩序をも許容する形であり、データ利用に際してはデータモデルの熟知と検証が必要不可欠であった。このため、限られたエンジニア以外でもデータの直接利用を可能にするためには、データ構造と内容の解釈が容易かつ、一般的なツールでハンドリングしやすいフラットなデータモデルからスタートできることが望ましいと判断し、SDMの採用と積極的な利用に繋げている。
本ワークショップでは、様々なデータ利活用アプリケーションの構築事例におけるSDMデータモデルの利用状況について紹介し、EMRデータの直接利用と比べた場合のプロセス省力化の具体例や、EMR・SDM間のマッピングプロセスや充足度合などの評価指標を提示しながら、SDM利用の効果について考察する。
更に、当院のリアルタイムDWHの特性を活かした診療支援ツールとしての利用を推進する中で、特に重視すべきはデータの品質・信頼性であり、EMRと同等水準の正確性・レスポンス確保のための品質管理・評価手法が重要となる。また、SDMコンソーシアムでは「品質向上委員会」を設置し、SDMのマッピングにおける解釈の相違や既存データモデルの課題等の共有・議論を通じて、SDMデータモデルの改訂や解釈の補完などに繋げており、SDMの構築・利用にあたって重要な品質確保・向上に向けた取り組みについても紹介する。