一般社団法人 日本医療情報学会

[2-C-4-03] 内科領域専門研修専攻医登録評価システム〈J-OSLER〉の立場から

*西川 正憲1,2 (1. 日本内科学会専門医制度審議会J-OSLER検討委員会、2. 藤沢市民病院)

J-OSLER, internal medicine specialty training, case registration, medical history summary, standardized medical summary

日本専門医機構認定内科領域専門研修が2018年4月に開始された。国民目線に立った安全かつ安心な医療の質を担保する新制度へ寄与するため、十分に練られた研修プログラムの下、内科を専攻する医師が利便性高く、研修履歴及び実績を登録し、審査を受ける仕組みが求められた。日本内科学会はこれらを実現すべく専攻医登録評価システム〈J-OSLER〉を構築した。J-OSLERは研修に必要な症例、病歴要約、技術・技能、専攻医評価、指導医評価、多職種評価およびプログラム評価などについて、双方向性の研修実績を記録するオンライン・システムである。J-OSLERで専攻医と指導医との研修状況を可視化することにより、内科専門研修の標準化、見える化、質の担保が可能となっている。経験症例登録(160例以上)では、専攻医自身が主担当医、主病名として経験した症例について、診療経験の概略と医学的・社会的な事項を含めた自己省察を登録する。登録後、評価依頼を受けた担当指導医は、修正の必要な部分を即座に把握するとともに、形成的評価・指導を通じて、当該専攻医に気づきを促し、その後の研修・学修を適切で有効に行われるようにする。承認された症例経験に基づきJ-Osler上で病歴要約を作成する。病歴要約(29例)は、内科専門研修施設において、主担当医・主病名としての診療経験について内科指導医の形成的指導の下に、内科専門研修に相応しい診療内容であることを、第三者にも実証できるように記載したものである。専攻医は、所属医療機関での診療録(カルテ)と退院(受持ち)サマリーなどを基に症例登録と病歴要約作成を行うが、所属医療機関でのセキュリティポリシーなどの制限があり、その都度入力を行わざるを得ない状況にある。標準化された診療サマリーの活用により、内科専門研修における症例登録と病歴要約作成にあたる専攻医の利便性がより高くなることが期待される。