一般社団法人 日本医療情報学会

[2-C-4] 標準化された診療サマリー・次なるステップは?

*渡邉 直1 (1. 医療情報システム開発センター)

2022年4月、コアな診療情報としての退院時サマリーおよび診療情報提供書の記載登録形式として、HL7 FHIRが厚労省標準規格として定められた。
 患者の診療・ケアが一つの診療科、一つの医療ケア機関にとどまることなく、複数部署複数機関での協働ではじめて成り立つ実態を見る時、当該患者の情報をいかに迅速かつ適確に共有できるかが問われるわけだが、これまでの、ともすれば「いかに繋いで共有するか」に主体をおいた医療情報ネットワークの検討から、「何を」共有すべきかに力点をおいた取り組みにパラダイムシフトしたのが2022年であった、と言えるであろう。記載登録文書の統一規格化により、どの医療ケア機関においても、情報を保有する患者の同意を得ることで容易にこれを閲覧し、必要に応じて取り込み、活用することが可能となる医療DX基盤のあり方が明確になったのである。
 さて、では「何を」コアな診療情報として共有すべきか? 厚労省は、この点についても踏み込んだ提言を行い、6情報(病名・アレルギー・キー検査情報・処方・薬剤禁忌・感染症)を特筆的に要共有情報として規定した。 これらのコア情報ははたして標準規格化された文書から有効に獲得出来るだろうか? そのための方策はどのようなものか?
 さらに、この6情報以外に重要な健康情報はないのか?それは何か?そしてそれらをどのように共有してゆけばよいのか?今回のシンポジウムではこれらの課題について問い進めてみたい。