一般社団法人 日本医療情報学会

[2-D-3-01] 医院で医療材料の診療報酬請求漏れをほぼゼロにした報告

*栗原 亮二1 (1. 鴻巣血管外科クリニック)

Work combination, billing errors, order management system

私が事務長として勤める鴻巣血管外科クリニックでは、年間で約1800件程度の手術を行うが、使用する医療材料の価格は高価なもので30万を超える。そのため、こうした医療材料の診療報酬請求が漏れると、小規模な医院経営においては致命的なダメージになる。しかし、その請求の点検ばかりに人手を回せるほど医院には資源の余裕もない。そこで、医院へ医療材料を納品する卸売業者に協力依頼し、業者の持つ受発注管理システムの一部改変と情報共有をすることで請求漏れがほぼゼロに出来たので、その内容を報告する。
 医療材料の請求までの業務フローとしては、まず手術で使用した材料を看護師が管理しており、「①卸売業者の受発注管理システムに使用材料のバーコード入力作業」と「②電子カルテで医事スタッフ向けの使用材料報告入力作業」を行う流れがあり、この工程で材料の入力・記入漏れが発生していた。この①・②の作業は、別のネットワークだが、同じタイミングで使用医療材料を報告するという重複作業であったため、この作業の結合を行った。具体的には卸売業者のシステム内で医療材料以外の手術手技点など医事請求に関するマスタを作り、看護師がバーコード表を読めば、②の報告書式データが作成できるようにした。さらに卸売業者へ、受注+在庫数と総定数の間に乖離があったとき、医事スタッフに連絡を頂く協力依頼を行った。その後、この連絡の実態を調査すると、この乖離値は請求漏れ数とほぼ一致し、結果、上記入力作業の漏れ点検も兼ねられ、業務負担を軽くしながら、請求漏れをほぼゼロにできた。
 近年、医療機関で収益悪化が問題視されているなかで、病院や会社など「違う組織で行っているが同じ効果のある業務」を結合・情報共有することが、その対策の一手になる可能性を報告した。今回は物流を軸にした内容であったが、今後は様々な業種で、幅広く業務結合や情報共有に関する報告が増えることを望む。