Japan Association for Medical Informatics

[2-D-3-03] 他ベンダへの電子カルテ乗り換えにおけるデータ移行の事例報告と課題

*Yoshinori Kimura1, Takuya Fujiwara1, Toshiaki Matsunaga1, Hiroaki Yano1, Daiki Komori1, Ryo Suemura1, Ryutaro Mori2, Daisuke Yabe2 (1. 岐阜大学医学部附属病院 医事課 医療情報係, 2. 岐阜大学医学部附属病院 医療情報部)

Data Migration, Switch EMR Vendors, Data Conversion, Government Procurement

【目的】当院では2022年末に第4期への電子カルテの更新を迎え、既存ベンダ(以下、A社)から新規ベンダ(以下、B社)への乗り換えが実施された。その際、A社電子カルテに2004年から蓄積されてきた大量のデータをB社電子カルテに移行する必要があった。このデータ移行事例を報告し、今後のデータ移行の参考となることを目指す。【方法】今回の更新における経緯、特にA社電子カルテからのデータ出力の対応を振り返り、他ベンダへのデータ移行の課題を考察する。【結果】当院の第3期調達仕様書には「本システム契約終了時において存在する、全てのデータについて、新規システムへのデータ移行作業へ協力すること。尚、本システム契約終了時のデータ抽出作業は、本調達に含まれることとする。」と記載されていた。これに基づき、2022年4月よりA社、B社を交えての協議が始まり、凡そ3ヶ月間にわたって議論が重ねられた。結果として、A社からデータの「差分移行」への協力は得られない状況となったため、移行データは当院で出力しなくてはならなくなった。当院は移行データの出力を、データ移行事業を持つ他社(以下、C社)に委託したものの、出力手法は協力して確立する必要があり、目途が立ったのはデータ移行リハーサル直前の9月であった。最終的に移行データの出力は実施できたが、スケジュールは大幅に遅延した。【考察】ベンダ乗り換え時のデータ移行に際しては既存ベンダに圧倒的な優位性がある。今回A社との協議が長引くほどデータ提供も遅くなり、スケジュールが遅延する一方であった。事態打開のポイントは、C社への委託という選択ができたこと、A社がデータベースの権限を開放していたこと、病院側が一定程度データベースを理解していたことであったと考える。普段からデータベースに関する知見を深め、移行時には他社への委託という選択肢を早期に探っておくことが肝要と思われる。