[2-E-1-06] 地域連携ネットワークにおけるDXとは ~サービス構築・「あじさいネット」利用者の視点から~
Health Information Exchange, EHR, HIE, Digital transformation, Medical DX
新型コロナ感染症によるパンデミックはわが国医療の脆弱性を露呈し、ピーク時には、自宅療養死さえ発生した医療崩壊を経験した。この最大原因とされたのは、医療分野における情報化の遅れである。特にEHRの利活用不足に加え情報通信機器を使ったtelemedicineの未普及は地域医療崩壊に直結した。このため政府は、マイナンバーカードの保険証利用と現行保険証の廃止、オンライン資格確認の義務化、電子処方箋の運用開始に加え、全国医療情報プラットフォーム(以下 全医情)構築を発表した。これは、実質的に政府主導の地連であるため、地連運用関係者は先行きに不安を抱えている。
長崎県のあじさいネットは全国最大規模の地連であり、全国の地連でも主流である拠点病院の電子カルテ情報の共有機能は、医師記録、看護記録も含め電子カルテの全情報が対象である点が特徴である。一方、現時点で全医情の共有情報は3文書6情報であり、医師記録、看護記録は含まれていない。あじさいネットにおいて最も共有利用されている診療情報は、医師記録、看護記録であり、全体の5割を超えている。また、高専門性の疾患患者も原則逆紹介される現状の地域完結型医療下では、質の高い継続医療に必要な情報は多岐に渡る。加えて、医師の専門や経験あるいは知識・スキル毎に必要な情報は異なるため共有可能な診療情報には網羅性が必要である。このため全医情が完成し普及しても、地連の併用は必須と考えられる。なお、診療所所有の診療情報が収集困難な点が地連の弱点であるが、全医情から処方情報を得ることで、この弱点を払拭できる。禁忌・アレルギー情報が確実に得られる点も有効である。したがって地連の共有情報種を可能な限り広げさえすれば、全医情の構築はむしろ、地連の機能強化になり得るものと思われる。
長崎県のあじさいネットは全国最大規模の地連であり、全国の地連でも主流である拠点病院の電子カルテ情報の共有機能は、医師記録、看護記録も含め電子カルテの全情報が対象である点が特徴である。一方、現時点で全医情の共有情報は3文書6情報であり、医師記録、看護記録は含まれていない。あじさいネットにおいて最も共有利用されている診療情報は、医師記録、看護記録であり、全体の5割を超えている。また、高専門性の疾患患者も原則逆紹介される現状の地域完結型医療下では、質の高い継続医療に必要な情報は多岐に渡る。加えて、医師の専門や経験あるいは知識・スキル毎に必要な情報は異なるため共有可能な診療情報には網羅性が必要である。このため全医情が完成し普及しても、地連の併用は必須と考えられる。なお、診療所所有の診療情報が収集困難な点が地連の弱点であるが、全医情から処方情報を得ることで、この弱点を払拭できる。禁忌・アレルギー情報が確実に得られる点も有効である。したがって地連の共有情報種を可能な限り広げさえすれば、全医情の構築はむしろ、地連の機能強化になり得るものと思われる。