Japan Association for Medical Informatics

[2-E-3-04] 子宮頸がん予防教育教材による女子大学生の意識変化および検診受診行動との関連性

*Yuko Katayama1 (1. 四国大学短期大学部 ビジネス・コミュニケーション科)

Uterine Cervical Cancer Screening Test, Teaching Materials for Prevention, Consultation

女子大学生の性交経験率が36.7%(2017, 青少年の性行動全国調査報告)であることから、女子大学生の約40%が性行為を経験する以前に、子宮頸がんや子宮頸がん検診に関する知識を増やし、検診受診行動に繋げるための予防教育が必要である。
本研究では、子宮頸がん予防教育DVD教材を制作し、視聴後の意識変化および検診受診行動について調査した。女子大学生を対象に、検診受診による利益を強調した教材A、検診未受診による不利益を強調した教材Bを作成し、講義を実施した。講義後に2種類の心理検査(POMS, STAI)を実施し、不安度を測定した。受講後、受診したいと回答した集団(教材A使用:Ⅰ群、教材B使用:Ⅲ群)と受診したくないと回答した集団(教材A使用:Ⅱ群、教材B使用:Ⅳ群)を4つの群に分類し、POMSとSTAIによる不安度の得点を、1元配置分散分析を用いて多重比較した。その結果、有意差は見られなかったが、Ⅲ群が最もネガティブで、今まさに感じている不安度が最も高いことがわかった。損益を強調した教材Bを使用した講義を受講したⅢ群が、受講後に不安を感じ、受講前の調査と比較すると、検診受診を希望する者が増加したのではないかと推測できる。以上の結果と損失回避に働きかけた場合に受診率向上が見られた先行研究があることから、損益を強調した予防教育教材を制作した。予防教育教材の視聴後の調査では、子宮頸がん、原因、予防、検診について理解できた・まあまあ理解できたと回答した者が100%、視聴前には受診したくないと回答した者が視聴後には減少したことから、教材には一定の効果があったと考えられる。しかし、その後の調査では、予防教育教材を視聴した学生と視聴していない学生の受診率はほぼ同じであった。検診受診に繋がる教育の工夫を今後の課題としたい。本調査は、授業の一部を使用し、倫理審査専門委員会の承認を得て実施した。