[2-E-4-02] 看護の現在とその先: 未来のための IoT の活用
Nursing human resources, Nursing practice environment, Generation Z
看護師の男女別労働割合は、女性91.9%であるのに対し、男性は8.1%であり、圧倒的に女性の多い職場である。そのためライフイベントの影響を受けやすく、年代別就業人数の割合は、30~34歳は10.8%、35~39歳は12.0%と低い。最も多く臨床で働いている世代は40~44歳が14.2%、続いて45~49歳が13.6%である。夜勤や長時間労働の影響や、女性特有のホルモン変化による身体的・精神的負担を感じる年代である。近年、男性の育児休暇取得率の上昇をうけ、実労働看護師の減少が起きている。未来に目を転ずれば、団塊の世代が全て75歳となる2025年には75歳以上の人口が全人口の約18%となり、2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%となると推計されている。少子高齢化は、ケアを必要とする世代の増加とケアを提供する世代の減少を意味し、医療・看護界における人的資源の確保は、安全な医療提供のために最重要課題である。 一方で、臨床の現場では、入院から退院までの治療計画と、看護計画が明記されたクリニカルパスが運用されている。医師の処方を統一し、看護ケアの行程を見える化することは、スタッフ間の認識の統一が図られ、医療事故を防ぎ、医療・看護の質を担保することができる。看護師は、その日の患者の到達目標を意識することで、最終的なアウトカムである早期退院に向けて、看護師が果たすべき役割が明確になった。しかし、その一方で、早期退院というアウトカムに繋がらない看護業務も山ほどあることは事実である。実労働者の減少の影響を受け、クリニカルパスに書かれた看護計画を実施することに疲弊する看護師が出ている。 医療・看護における臨床現場の課題を大きく人的資源と、実践環境の2つに分けて概観し、近未来に看護が直面する問題を想起し、IoTの活用で何が可能なのかについて考察する。