Japan Association for Medical Informatics

[2-F-2-02] DACS 〜情報セキュリティインシデントでの活用とBCP〜

*森藤 祐史1 (1. 大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター 医療情報部 診療情報管理室)

 DACS(ダックス)とは「Document Archiving and Communication System」の略で、「診療記録文書統合管理システム」という。多様な作成方法を有する診療情報を文書単位で一元的に管理し、長期的な可用性の確保を目指すコンセプトである。データ単位ではなく、文書とメタデータの組合せを一単位とし、電子保存の3要件(真正性・見読性・保存性)を満たす。医療現場における情報システムの細分化が進んだことで、診療情報の一次利用の観点でDACS の必要性は増しているのではないか。
 コンセプトの目的は、情報の維持・継続・俯瞰的閲覧を目的にした考え方だが、非常時における事業の継続での活用も期待できる。文書形式の情報は表示に複雑な技術を要求されないため、HISネットワークの整備されていないエリアでの参照環境を展開も検討できる。実際に、2022/10/31に起こった大阪急性期・総合医療センターの情報セキュリティインシデントでは、発生直後から診療継続に活用できた。DACS を適切な方法で構築およびバックアップしておくことは有用である。