Japan Association for Medical Informatics

[2-F-5-01] 都道府県の行政が関連するPHRサービス導入状況の調査研究

*Tatsunori HBMS Shimakawa1, Masako Yamaguchi1 (1. 県立広島大学)

Personal Health Record, Regional administration, healthy life expectancy, labor productivity

1.背景
 健康寿命の延伸や労働生産性を向上させるための施策として、PHR(personal health record)の活用が期待されている。国がマイナポータルを整備してきているが、個々の地域の課題への対応は、各都道府県の行政計画に基づいて実施する必要があり、地域行政が担うPHRサービスの在り方が問われている。
2.目的
 都道府県の行政が関与しているPHRサービスの導入状況を調査し、PHRサービス普及の課題を考察する。
3.方法
 全国の47都道府県庁の健康医療関連部署を対象とし、2023年2月10日から2023年4月14日までの間に郵送もしくはメールにてアンケート回答を回収した。
4.結果
 47都道府県のうち、45健康医療関連部署から回答を得た。都道府県の行政機関として運営もしくは、委託や支援しているPHRサービスの有無について、「ある」との回答が5件、「現在はないが、検討中」との回答が6件、「検討が進んでいない」との回答が34件であった。 PHRサービスがない理由について、「市町村単位での行政の支援は必要であるが、都道府県単位では必要ない」、「特にPHRサービスの必要性を感じていない」との回答がともに19.4%と高く、次いで「民間サービスのみで十分である」(12.9%)の順となった。なお、「医療介護等従事者間のみでデータ共有する地域医療介護連携のみで十分である」との回答はなかった。
5.考察
 地域健康法においてPHRサービスに関する都道府県の役割が位置付けられていないことや、都道府県として市町村のニーズが把握できていないなど様々な課題により、検討が進んでいないことがわかった。国と都道府県や市町村、さらには民間との役割の明確化が必要になるものと考える。