一般社団法人 日本医療情報学会

[2-F-5-04] PHR開発における医療文書のHL7 FHIR対応

*山下 貴範1、平松 達雄2、増田 剛3、小西 由貴範 3、藤井 敦4、山口 雅史4、中島 直樹1 (1. 九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター, 2. 国際医療福祉大学医療情報部 , 3. 株式会社ケーアイエス, 4. 富士通Japan株式会社)

Medical Document, Electronic Health Record, Personal Health Record, HL7 FHIR

はじめに:令和5年6月に第2回医療DX推進本部が開催され、政府は医療DXの推進に関する工程表を公表した。その一つに「電子カルテ情報の標準化等」があり、全国の医療機関・薬局において、電子カルテ情報の一部の共有と閲覧を可能とするサービスとして、3 文書6 情報(診療情報提供書、退院時サマリー、健康診断結果報告書、傷病名、検査結果等)の共有を進め、順次拡大していくことが示された。本研究では、上記政策に対応した実証を目的として、臨床上のユースケースに対応した標準仕様を用いたPHRを開発した。
方法:PHRの医療文書(診療情報提供書、退院時サマリー)機能は、厚生労働省標準規格のHL7FHIR記述仕様に準拠し、3つの実証病院の電子カルテ上の各文書に対してマッピングを実施した。各病院にFHIRサーバを配置し、PHRからFHIRリソースをダウンロードする方式とした。FHIRサーバへのアクセスは、OAuth2の認可サーバを使用し、Smart on FHIR認証処理で各文書にアクセスする仕組みとした。
結果:今回の実証病院では同一ベンダーの電子カルテ運用であったが、異なる文書機能を使用していた。診療情報提供書は専用機能とWord文書の使用例があり、両方ともフリーテキスト記載であったため、FHIRへのマッピングができずPDFによる連携とした。退院時サマリーは専用機能とテンプレートの使用例があり、専用機能はFHIR構造セクション(添付・PDFセクションを除く)の23項目中13項目に対してマッピングができた。テンプレートはFHIR出力が困難でありHTMLで連携したが、HTMLからFHIR構造へ組込む形で対応した。
結語:医療文書は病院運用やベンダーの機能に依存しており、FHIRへのマッピングや出力について課題があることが分かった。FHIRによる文書の病院間流通のために、医療文書運用の標準化を推進する必要がある。