一般社団法人 日本医療情報学会

[2-G-1-04] 点滴滴下速度監視システム使用による看護業務の有用性について

*齊藤 淑子1、松尾 葉月1、小川 美智子1、柳沢 実果1、大村 和代2、杉村 弥生2、村岡 修子1 (1. NTT東日本関東病院, 2. 株式会社トライテック)

infusion rate management system, infusion management, nursing practice

背景:看護業務における輸液管理は他の業務と並行して行われる。多重業務の中、インシデント予防策としてとして輸液ポンプを使用している。しかし、保有台数に限りがあり必要な患者に使用できなかったり、アラームがナースコールと連動していないため対応が遅れる現状がある。
目的:てきてきくんを使用した輸液管理が、看護業務に有用的であるかを明らかにすることを目的とする。てきてきくんは、点滴滴下速度監視システムでありアラート発報が可能な機器である。
方法:てきてきくんの使用はA病院の1病棟とした。対象の輸液は手動輸液で速度管理している末梢静脈からの維持輸液と抗生物質投与とした。使用期間は2023年2月1日~3月21日とし、使用後に看護師24名にアンケート調査を行った。アンケートの項目は、経験年数、輸液管理に関するインシデントの経験、使用感に関する4項目、使用への期待や要望2項目の計8項目とした。使用感に関する質問は、非常にそう思う、ややそう思う、あまりそう思わない、全くそう思わない、の4件法を用いた。
結果・考察:アンケート回収は100%、てきてきくんを使用した事例は100件であった。センサー発報数は154件あり、67.5%が過剰投与と輸液停止だった。主な結果は、てきてきくんの使用は精神的負担が軽減したかに対する肯定的意見が62.5%であった。最も多かった理由は、過剰投与されない安心感があるであった。てきてきくんの使用が点滴の過剰投与を予防できるかに対しての肯定的意見は95.8%であった。てきてきくんは便利かでは肯定的な意見が58.0%で仕様の改善により利便性が上がる意見が多かった。これらの結果から、てきてきくんの臨床現場での利用は輸液管理に有用的であると考えられた。特に、過剰輸液投与などインシデントを予防として使用することによって、看護師の精神的なジレンマの軽減につながると考えられた。