一般社団法人 日本医療情報学会

[2-G-1-06] IoT技術を活用した看護行動認識とプレゼンティズム予測手法

*山下 佳子1,2、大山 慎太郎3、鈴木 輝彦4、坂本 祐二5、出野 義則1,5、木下 珠希1、河野 葵6、中山 奈津紀6、山下 暁士1、藤井 晃子4、森 健策2、白鳥 義宗1 (1. 名古屋大学 医学部附属病院 メディカルITセンター, 2. 名古屋大学大学院 情報学研究科 知能システム学専攻, 3. 名古屋大学 未来社会創造機構 予防早期医療創成センター, 4. 名古屋大学 医学部附属病院 看護部, 5. 株式会社ケアコム, 6. 名古屋大学大学院 医学系研究科 総合保健学専攻)

Internet of Things, presenteeism, machine learning, Bluetooth Low Energy

【はじめに】看護師は心身不調に由来するプレゼンティズム(労働生産性低下状態)が他職種より多く、不規則な勤務形態や強い心身ストレスから離職に至る率も高い。類似研究はウェアラブルデバイスで腰痛に注目し、筋硬度測定によりプレゼンティズムの発生を予測するが、性別や運動経験の有無など個々の特性が影響し予測が難しいと報告されている。本研究では、Internet of Things (IoT)技術を用いてプレゼンティズムに関連する筋骨格系疼痛の主要な原因となる看護行動を特定・判別することを目的とする。 【方法】当院はBluetooth Low Energy (BLE)位置測位システムを導入しており、BLE信号の発信源の高精度位置測位が可能である。BLE 測位アンテナを利用して、加速度センサデバイスによる看護行動データを収集し、観察者の直接観察により看護行動ラベルデータ(看護行動、実施場所、行動の開始・終了時刻)を作成した。加速度データの統計値を用いて機械学習を行い、行動認識モデルを構築した。 【結果】看護行動をプレゼンティズムリスク(腰痛/膝痛/頚肩腕痛)と関連のないものに分類した結果、行動認識モデルの精度は0.52から1.00の範囲となった。特に、腰痛と関連する行動が高い精度を示した。 【考察】IoTを用いた手法により、看護師の行動を推定し、身体的プレゼンティズムリスクに関連する行動を特定することができた。特に、腰痛と関連する行動が高い値を示し、プレゼンティズム予防の重要性が示された。今後の課題として、行動認識モデルの精度向上のためには、データ収集とアルゴリズムの改善が必要である。本研究は、看護師の労働環境改善とプレゼンティズムの予防の両面において今後の発展に寄与するものと評価される。