Japan Association for Medical Informatics

[2-G-1-08] 看護師の臨床判断を支援するシステムに必要なマスター構造の考察

*Miwa Aoki1, Tomohiro Mitani2, Masako Seki3, Susumu Suzuki3, Kazuhiko Ohe1,2 (1. 東京大学大学院医学系研究科, 2. 東京大学医学部附属病院, 3. 日本アイ・ビー・エム株式会社)

Nursing Process, Clinical Judgement, Clinical Decision-Making

背景:臨床現場では、新しい治療方法の導入や薬剤の副作用観察、安全対策の変更など学習しなければならない知識が絶えず出現する。一方で、新入職者や病棟異動者、職場復帰する看護師等への教育支援や多忙な状況を調整しながら看護の質や安全を担保するために時間的資源には制限があり、知識のアップデートが可能な臨床判断支援システムの開発が望まれている。しかし、看護師のケアフローをカバーするようなオープンソースのマスターは存在せず、臨床判断支援システムに求められるマスターの構造も明らかではない。本研究では、深部静脈血栓症の予防に幅広く使用されており、正しい適応、着用時着用後の注意深い観察が必要とされる弾性ストッキングや間欠的空気圧迫法を模擬シナリオとして、マスター構造の検討を行った。
方法:急性期病院における模擬患者を設定し、治療診断予防ガイドライン等におけるケアフローに基づき、行為介入コード、観察介入名、条件の有無、条件行為介入コード、条件値を設定した。
結果・考察:模擬シナリオに対し、限定された項目についてであるが、患者の状態や条件に基づいて関連する観察項目や行為項目を表示させ、さらに表示した項目に対しての入力で展開していくマスターを作成した。本マスターを利用することで観察項目や行為介入項目、さらに観察項目の結果によってこれまで実施していた介入の変更・中断や中止の検討を提案する表示ができると考えられた。これらは個別性のある看護ケアを阻害するものではなく、ガイドライン等で示された最低限の標準的なケアが実施されるよう看護師の臨床判断の支援を行うものである。今後、実際の入院患者のデータに基づきシミュレーションを行い評価する予定である。さらに対応するシナリオを増やし、ガイドライン等で示された看護ケアに関連する知識のデータベース化の検討およびアルゴリズムの作成を進めていく。