一般社団法人 日本医療情報学会

[2-G-3-01] 大規模臨床データベースにおける糖尿病性ケトアシドーシス抽出アルゴリズムの作成

*佐藤 直市1、伊豆倉 理江子2,1、相良 理香子1、神田橋 忠1、平田 明恵1、安西 慶三3、野村 浩子4、宇山 佳明5、中島 直樹1 (1. 九州大学病院 メディカル・インフォメーションセンター, 2. 宮崎大学医学部看護学科 総合臨床看護科学講座 成人・老年看護学領域, 3. 佐賀大学医学部肝臓・糖尿病・内分泌内科, 4. 徳洲会グループ薬剤部, 5. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構)

e-Phenotyping, MID-NET, Diabetic ketoacidosis

データ駆動型研究の大規模基盤データベースである MID-NETより入院を要する糖尿病性ケトアシドーシス(以下DKA) 症例を特定するためのアウトカム定義(以下:DKA 定義)を作成し、解析した。
方法として① 全ての真のケースが含まれると想定される集団(All possible cases:以下 APC) を特定していると考えられる定義(APC定義)を作成、② APC定義に病名・検査・薬剤情報の項目を組み合わせてDKA定義を作成、③ 複数医療機関での統合データを用いて機械学習法で得られた重要変数をAPC定義に追加ないしは除外することにより普遍的な改良型DKA定義を作成した。
APC定義は 「DPC 傷病情報6項目にケトアシドーシス(以下 KA) またはKAに関連する病名があること、かつ SS-MIX 傷病情報に KA に関する病名があること」とした。2011年より2019年の対象期間に九州大学病院において該当する48 症例 においてAPC 定義は陽性的中率(以下PPV)47.9%、感度 100%となった。
得られたAPC定義に病名情報、医薬品情報、検査結果の条件を組み合わせることにより 11 種類の DKA 定義を作成した。「DPC傷病情報3項目(主傷病名、入院契機病名、医療資源1病名)にKAまたはKAに関連する病名がある、かつ SS-MIX 傷病情報に KA に関する病名があること」とした定義ではPPV 59.5%、感度 95.7%となり、実用化可能なDKA定義を得られた。
また3施設統合データを用いて機械学習で得られた重要変数をAPC定義に追加または除外することで、PPVの上昇に着目した定義(PPV重視型定義)とPPVが高く感度の低下が小さい定義(バランス型定義)の2種類の定義が得られた。それぞれの定義のPPV・感度はそれぞれ88.1・75.6%、80.0・81.9%となり、普遍的な改良型DKA定義を得られた。