Japan Association for Medical Informatics

[2-G-3-05] 機械学習による急変の予測

*Yasushi Hirano1, Kiyotaka Shiramoto1, Michiya Yamaguchi1, Hiroya Wakamatsu3, Akihisa Takasaki1, Haku Ishida2 (1. 山口大学医学部附属病院, 2. 山口大学大学院医学系研究科, 3. 山口県立総合医療センター)

Prediction, Rapid Response System, Machine Learning

患者の急変を予測するために院内迅速対応システム(Rapid Response System, RRS)の導入が進められている。RRSを起動するための基準として、早期警告スコアリングシステム(Early Warning Scoring System, EWSS)が提案されており、National Early Warning Score (NEWS)やModified Early Warning Score (MEWS)などの他、各施設で独自に開発が行われている。これらのスコアリングシステムは、多数の生理学的な兆候などから経験的に定められたものにとどまるものが多い。そこで本研究では、RRS起動のための新たな基準作成のために、生化学検査の結果やバイタルデータを機械学習によって解析した。解析には952症例を用いた。このうち、Code Blueとなった患者(Code Blue症例)は36例、予期せぬICU入室となった患者(ICU症例)は76例、Code Blueあるいは予期せぬICU入室とはならなかった患者(対照症例)は840例であった。これらの症例を用いてロジスティック回帰解析を行ったところ、急変症例(Code Blue症例、ICU症例)を急変発生の2時間前にAUCが0.83、8時間前に0.80で予測可能であった。また、急変発生時のROC曲線からYouden’s indexによって急変症例と対照症例を分離するための閾値を決定し、その閾値によって急変発生の8時間前のaccuracy、recallおよびprecisionを計算したところ、それぞれ0.83, 0.55, 0.38であった。さらにSHAPを用いて各検査項目の重要度を解析したところ、予測に有効であった検査項目は、尿素窒素、クロール、心拍数、グルコース、CRPなどであった。