Japan Association for Medical Informatics

[2-G-5-02] 麻薬施用票の電子化とその効果に関する検討

*Shunya Yonemura1, Mitsunori Nishikawa1, Tomoya Yamamoto1, Toshihiro Takeda2, Masahiro Okuda1 (1. 大阪大学医学部附属病院薬剤部, 2. 大阪大学医学部附属病院医療情報部)

medical narcotics, pharmacy management system, patient record

【背景】電子カルテシステム(以下HIS)の普及とともに効率性や安全性を向上させるために様々な帳票の電子化が進んでいる。大阪大学医学部附属病院でも多くの帳票が電子化されてきた。一方、麻薬処方の際に出力される麻薬施用票は、看護師がHISで実施記録を入力し、同時に施用票に実施記録を手書きで記載する運用であった。そのため、HISの施用情報と手書きの施用票に齟齬が生じる可能性があり、記載内容の確認を薬剤師が行っていた。また、事務員が施用票を手作業でスキャンしHISに登録するため、多くの労力を必要としていた。今回、麻薬施用票の電子化とその効果の検討を行った。
【方法】2023年3月にHISに指示システムと連動して麻薬管理を行い、スキャンの自動化が可能なQRコード付き麻薬施用票を出力する仕組みを構築した。HISから実施記録が記載された施用票が印刷される。手書きの施用票(n=197)およびQRコード付き施用票(n=13)についてスキャンに要した時間を計測し、作業時間を比較した。また、2023年5月にQRコード付き麻薬施用票を多く出力した3病棟の専任薬剤師3名に聞き取り調査を行った。
【結果】手書き施用票のスキャンに要した時間は、1枚あたり11.1秒でQRコード付き施用票では、4.9秒であった。聞き取り調査では麻薬の返却処理の確認において業務軽減されたと全ての薬剤師から回答を得た。
【考察】本システムは手書き修正に対応するため、スキャンは必要であるが、QRコードを自動で読み取るため患者IDや診療科の入力が不要となり、業務軽減につながった。2023年5月に印刷されたQRコード付き施用票は265枚であり、27分ほど短縮される見込みとなる。また、薬剤師業務では麻薬の返却処理の際、手書きの記載箇所が減少し確認が軽減された。麻薬処方を多く処理する当院では電子化の導入効果は大きく、全体での業務軽減が実現した。