Japan Association for Medical Informatics

[2-H-1-02] 診療端末上のグラフ付き体重管理アプリケーションの作成とそれを用いた肥満症診療

*Hiraku Ono1 (1. 千葉大学医学部附属病院)

body weight, graphical presentation, Windows application, obesity, blood pressure

日本人の4人に1人は肥満を持ち,このうち約7割は合併症を有する,すなわち肥満症と考えられている。肥満症は2型糖尿病や高血圧のみならず,睡眠時無呼吸症候群や変形性膝関節症,不妊などの多種の合併症をもたらす。肥満症の治療で最も重要なのは言うまでもなく減量であるが,体重の記録と減量の評価は必ずしも容易ではない。血液検査などの,電子カルテ上に結果の数値が自動的に入力され,その時系列やグラフによる把握が比較的容易なデータと比べ,体重や血圧といった身体データに関しては,最も重要な情報であるにもかかわらず,電子カルテ上で効率よく入力し,時系列や概要を把握するシステムが少ないのが実状である。
 そこで発表者は,最小限の努力で患者の体重と血圧を記録し,BMI( 体格指数)やTWL(総体重減少率)・EWL(超過体重減少率)とともにグラフ化するWindowsアプリを開発し,診療端末にインストールして肥満症診療に用いている。患者IDをカルテから自動取得し,診察日に入力した体重と血圧をsqlite DBに追加するとともに,クリップボードを介してカルテ本文に貼付する。グラフも電子カルテのイラストとして貼付可能である。管理栄養士が過去の栄養指導においてテキスト内に記載した体重歴についても,文章解析により取り込みが可能である。体重・血圧・身長のデータは,パスワード入力により二次利用の目的でcsv出力が可能である。投薬や肥満外科手術などの体重に大きく影響するイベントの入力およびグラフ上の表示機能も有している。
 本アプリケーションはC#とVisual Studio expressを用いて作成しており,患者ID取得の軽微な修正により電子カルテベンダーを問わず用いることが出来る。今後電子カルテとの連携や検査データの表示などの機能を追加してゆく予定である。