一般社団法人 日本医療情報学会

[2-H-1-03] Interpretive Structural Modelingを用いた栄養指導技術の構造化の検討

*鵜飼 真千子1,2、菅野 未希子2、須藤 瑠衣2、上田 龍一郎1、小笠原 克彦1 (1. 北海道大学大学院 保健科学院, 2. 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院 栄養部)

Interpretive Structural Modeling, Decision Making Trial and Evaluation Laboratory, Nutrition Care Process, Nutrition Therapy, Registered Dietitian

目的
国際的に栄養改善への関心が高まり、管理栄養士による栄養管理が注目されている。その方法は栄養管理プロセスにより標準化が図られているが、管理栄養士の知識や経験による影響が示されている。そこで本研究では臨床現場における管理栄養士の臨床実践に対する理解を深めるため、栄養指導技術に影響する要素を明らかにし、その関係性について構造化を試みた。

方法
医療機関において栄養指導業務に従事し、栄養管理プロセスおよび栄養指導に関する経験・知識を有する管理栄養士3名を対象とした。対象者全員によるブレーンストーミング及びKJ法にて栄養指導技術に関する要素を抽出し、各要素間の関係性を図解化した。抽出された要素は、栄養管理プロセスに基づく言語を用いてその定義を同定した。抽出された要素間の関係性についてISM法による分析を行い、階層構造図によって関係を示した。

結果
ブレーンストーミングおよびK J法にて14の要素が抽出された。抽出された要素において、栄養指導を行う際の栄養管理プロセスにおける直接的な技術要素として「栄養診断」「栄養介入計画」「情報収集」「フィジカルアセスメント」が同定され、栄養管理プロセスに間接的に影響する要素として「多職種連携」「食物・栄養・調理の知識」「臨床経験」「学習の機会」「臨床知識」「コミュニケーション力」「患者背景の理解」「動機付け」「教育教材」「カウンセリング技術」が同定された。ISM法による構造化の結果として、「栄養介入計画」が最上層に位置する6層の構造図が得られた。第二層に「栄養診断」、第三層は「情報収集」と「フィジカルアセスメント」の強連結、第四層に「臨床知識」と「動機付け」が並んだ。第5層は「多職種連携」「食物・栄養・調理の知識」「カウンセリング技術」となり、最下層は「コミュニケーション力」「臨床経験」「学習の機会」「教育教材」「患者背景の理解」であった。